雪ウサギのお家

カゲトモ

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 アーケードからひなたに出ると、自然と首が伸びた。

 昨日の寒さが嘘のように今日は日差しが暖かだ。風がないだけで随分と気温が違う。

「いい天気だなぁ」

まぁまだ路肩には雪が残っているのだけれど。昨日降った雪が日陰ではまだ溶けていない。公園の遊具にもまだうっすらと雪が積もっていて、子供たちが雪遊びを楽しんでいた。

 かまくらとか雪合戦とか出来るほど降ってはいないから、小さな雪だるまを作ったりしているのだろうけど。

「きゃははは!」

 おーおー、楽しそうで何より。おじさんはこれから仕込みですよー。

 なんて、無邪気な子供たちを横目に公園を過ぎ去ろうとすると、突然フェンスの向こう側から「おにいちゃん!」と声を聞こえた。

「コタロウ」

 そこに居たのは小柄な少年。少し前にこの公園で出会ったコタロウだった。あの時は落し物をして泣いているところを見つけて、放っておけなくて声を掛けたんだよな。

 コタロウはマフラーを首に巻いたコロコロとした恰好で、走って公園から出てきた。

「みてみて、ゆきうさぎ!」

「おー、凄いじゃん、かわいい」

 その手には真っ白な体と緑の耳、赤い目が付けられた雪ウサギ。コタロウみたいに小さくて可愛らしい。

「りょーたくんのゆきうさぎもみて」

 リョータと呼ばれた少年はコタロウの後ろに隠れるようにして居た。目が合うと、恥ずかしそうにして両手を差し出す。こちらも小さな手のひらに小さな雪ウサギが乗っている。

「リョータ君のも上手だね」

「ふふ」

 肩をすくめて照れる仕草はこの年齢特有の可愛らしさに溢れている。俺にもこんなに可愛らしい時代があったのだろうか。いや、無かった気がする。

「二人とも上手いな、どこで習ったんだ?」

「きょうかしょにのってたよ」

「そうなのか」

 挿絵、とかだろうか。はたまた図工の教科書だろうか? 俺の時にそんなのあったかな。

「ところで。手、冷たくないのか?」

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