第4話
「早くしないと電車出ちゃいますよ!」
慌てている私にいつもアキは追い打ちをかけてくる。
「よし!行こう」
駅まではいつも一緒だが方向が違うので普段2人は片方の平日を知らない。
am8:00
白石の場合
「……おはようございます」
「遅いぞ!白石!仕事置いてあるから早く終わらせて提出しろ!」
いつものように上司からの無茶苦茶な仕事に精を出す。
「大変だね、こっちの仕事終わったら少し手伝うよ」
彼は峰山先輩、席が隣でいつも私のことを気にかけてくれるとても頼れる先輩。
「でも先輩、私の倍以上、仕事任されてるじゃないですか…」
峰山先輩は時期部長でそれを理由に今の部長に私以上にこき使われている。
それからは誰とも会話をすることも無く仕事に黙々と精を出している。
アキの場合
「……おっ……おはようございます!アキ先輩!」
「おはよう」
今日も誰だか知らない後輩に挨拶された。正直少し戸惑う。
「おはよ!アキ」
「おはよー」
「おはよう」
いつものように普段から仲がいい2人に挨拶された。
「ちょっとアキ!あきらがお昼に3人で食べようと思ってたお菓子食べちゃったんだけど!」
この活発な女子が僕の数少ない女友達の雲雀、入学した頃から何となく変な目で見られることが多かったが雲雀はそういうことをしなく気づいたら仲良くなっていた。
「仕方なかったんだよ!……そこにお菓子があったから」
この言い訳がアホくさいのがあきら、入学した時からとても仲がよかった……以上
「そういえばどうなの?えっと、白石さん?」
「今日も一緒に駅まで行ったよ。最近は仕事もだいぶ落ち着いた時期らしくて夕飯も一緒に食べるよ」
((まるで新婚だな……))
「私会ってみたいな……アキ曰くすっごい美人らしいし」
「自分の顔と比較して絶望するだけだと思うがな」
一瞬の間にあきらの首があらぬ方向に
「別に雲雀はそこまで顔悪くないと思うけどな」
「うっさい!授業始まるよ!」
「……可愛くないねぇ」
その後も授業を受けその合間に他愛もない話をしている。
pm13:00
白石の場合
今日は普段よりペースが上がり昼休みがとれた。
休憩スペースに行くと見知った顔がいた。
「白石おつかr……」
「東さん!?」
彼女は、私の元教育係で上司の東さん。同じ女としてよく相談に乗ってもらったりたまの休日には一緒に出かけたりもする。
「あんのクソ上司が、絶対見返してやる」
よくアキに言われるはっきりと物事を言うところはこの人に似たのだろう。
ゆっくりもしてられないのでお弁当を食べることにした。
「あれ?白石お弁当だなんて珍しいね」
「作ったの私じゃないんですけどね」
「……彼氏か」
「そう思いたくなるのは分かりますけど、違います同居人の男の子です」
「彼氏じゃん」
「違いますって!それに彼、高校生ですよ!?」
「……高校生はやめとけって」
「何がですか!?」
アキの場合
「アキ!飯にしようぜ!」
「わかったわかった。雲雀呼んでくるから、ちょっと待って」
いつものようにあきらと雲雀と僕でのお昼だ。
「相変わらずアキの弁当美味そうだよな」
すると雲雀が僕の弁当をじっと見つめてきた。
「アキのハンバーグもーらい!」
「雲雀ぃ、唯一のハンバーグだっのにー」
「冗談だって、ほらあーん」
そう言って雲雀は奪ったハンバーグを僕に食べさせようとしてきた。
「おい!雲雀!周りの目がやばいぞ!そろそろお前消されるぞ!(小声)」
「背に腹は変えられないんだよ、あきら」
「ちょっと待って!ハンバーグ1口は無理だって!」
「別に1回で食べろとは言ってないわよ」
そういい再びハンバーグを近づけてきた。
「仕方ないか、まあまあかな」
実はこのハンバーグ、白石と昨日作った時の余り物かつ、白石さん作なのだ。
(凄い舌が痺れてきた)
「残った半分はもらうわね」
(それはやばい!)
掴もうとしていたそのハンバーグを奪い返した。
「あきら、あーん」
「「「な!?」」」
クラスメイト一同が騒然とした。
(……ごめんあきら)
そう心の中で謝りながら、半ば強制的にあきらの口にハンバーグをねじ込んだ。
「アキ……これ……ハンバーグの味じゃ……」
あきらはすぐに保健室に搬送された。次の日あきらは欠席した。
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