第11話「不思議な停電」


ブライ「ダルは…、この世にいてはならない…。存在するはずのない動物なんだ。」

リーマ「確かに見たことない動物だね、だからこそ何か訳があるかもしれない…。そう思って保護してたんだ。」

ブライ「…。」


ブライ「ダルとはどこで会ったんだ…?」

リーマ「5日前の夜、ビジョン株式会社に落雷があった日に。その日の夜、僕は自分の部屋で本を読んでいたんだ。」


リーマ「しばらくしたら、ドーン!って急に雷が鳴って、雷光と同時に電気が消えて部屋が真っ暗になったんだ。ただの停電だと思ったけど…今思うと不思議な停電だったなぁ…」


リーマ「壁に手をかけて部屋の扉の方の明かりのスイッチに向かって行ったら足元に何かぶつかって…。その時、扉の下にダルがいたんだ。」


―5日前―


リーマ『…!?ネコ…いや違う…。』

ダル『キョ…キョウ~…!』

ダルはその時、怯えるように威嚇していた。

リーマ『…。大丈夫だよ。』リーマはダルに触れようと腕を伸ばし手を差し伸べた。

ダルはリーマの手に噛みついた。この時リーマは何かを強く感じた。この生き物は悲しく重い苦しみを抱えている生き物だと。


リーマは自分の手を噛みついたダルごと抱きしめてこう語りかけた。


リーマ『大丈夫、もう大丈夫だよ…。』


リーマがそう言うとダルは大きくつぶらな瞳から大粒の涙を流した。


―現在―


リーマ「この子…ダルには何か事情がある。そう思って保護したんだ。」


ブライ「そうか…。」


ブライは哀しげな表情を浮かべながら自分の膝で眠るダルを見ていた。


ダル『キョ?』

ダルがブライの顔を見るとブライはダルに優しく微笑んだ。


リーマ「なんかごめんね…。勝手に保護しちゃって…。」


ブライ「…良かったな…ダル。リーマに出会えて。」

リーマ「…え?」ブライ「リーマ、君には話すよ。ダルはな…。」


ブライ「…人の手で生まれた…改造生物なんだよ。」

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