史上最強の人間?が召喚された
ARS
第1話 転校そして召喚
天空都市、それは一応日本の領土としてギリギリ認定された幻の島。
特定の条件を満たした人間しか入ることが出来ない浮遊島。
その島は遠目から見ようとして日本に来る人間は少なくない。
そして、俺こと風上 霧雨(カザカミ キリサメ)は今義妹とその条件を満たしてその天空都市に行ける飛行機に乗っていた。
「お兄様、見てください!
天空都市ですよ!」
俺の義妹である風上 寧々(カザカミ ネネ)は興奮し切った様子ではしゃいでいた。
「わかったから座れ。
そろそろ着陸だから危ないぞ」
「お兄様、もうお忘れですか?
異例の超能力者。
このくらいの衝撃を無くすくらいお茶の子さいさいですよ」
こうなると寧々は聞かない。
仕方ないので俺は寧々を持ち上げて座り直させる。
しかし、先程も寧々が言ったように寧々には超能力と呼ばれる異類の力を有しており、この程度の衝撃などあってないものと言える。
「それでも、危ないように見えるんだ。
兄貴として世話を焼かせてくれ」
「全く、仕方ありません。
大人しく座っています」
大人しく引き下がってくれて俺は少し拍子抜けをしながらも安心して深々と腰をかける。
「ただし…」
そんな寧々の声が聞こえたかと思うと次の瞬間には俺の膝の上に寧々が座っていた。
「ちょっ、寧々⁉︎」
「少しお兄様を困らせるとします」
そう言って寧々はより密着面積を大きくする。
そして、俺が引き剥がそうとした時だった。
カチンッ
とこの飛行機に乗る前に聞いた小気味いい音が聞こえる。
どうやら俺の義妹様はシートベルトをつけてしまったらしい。
俺のサイズに合わせたせいかやけにキツく、より密着レベルが上がる。
「寧々、シートベルト…」
「もうすぐ着陸ですのでシートベルトの…仲の良い兄妹ですね」
この飛行機にはアナウンスが存在しない。
故によくサービスでお菓子などを売ってくれる人が言いに来るわけだが、何かを盛大に勘違いしたのかすぐに去っていった。
「たく、とりあえず時間もないようだしこれでいいか」
俺は色々と諦めて今の状態を受け入れることにしたのだった。
「ここが天空都市…思った以上に普通だ」
「そうですね。
もう少し無法地帯というイメージが…」
寧々よ、それはいくら何でもない。
確かに少しそっち寄りとは俺も思っていたけど…。
ここで天空都市について話してみよう。
天空都市とは、空に浮かぶ一つの大陸である。
先住民などはいないと言われそこにいる生物も基本的に地球上のものと公表されている。
まぁ、今はそこに関してはどうだっていい。
天空都市には少し特殊な細菌があり、特殊な条件を満たすものしか入らないという理由で入るには厳しい条件が課せられている。
しかし、そこに誤りがある。
正確には公表できる表向きの設定なのだ。
本当はこの天空都市は一般の社会で生きていけない人間…いや、正確には一般とは逸脱した力または存在の避難場所である。
例えば寧々の場合は超能力があるから今回の条件がクリアできた。
そのようにしてこの天空都市成り立っている。
俺はそうしてある場所に向かう。
天空都市唯一の学校である。
「よし、俺は高等部だから一度別れるな」
「お兄様、頑張ってくださいね」
「おう、お前は気をつけろ」
「はい!」
お互いの転校手続きを行いに俺たちは今、学校に来ている。
本格的な転校は明日からとなっており、今日は引っ越しの荷物整理ができるだろう。
数時間後
「思った以上に手続きに時間が掛かったな…」
学校から出て俺はポツリと呟く。
そして、校門のところには既に寧々が立っていた。
「お兄様、遅いですよ」
「悪い、少し自分の特異性を書くの戸惑ってな」
俺は顔の前に手を合わせて頭を下げる。
「まぁ、お兄様の特異性は少し特殊ですからいいとしますか…。
私もよく知りませんし…」
そりゃ、そうだろう。
いくら義理の妹とは言えでもこの特異性は言えない。
吸血鬼の生まれとかだったら、もうちょっと手続きが楽だったんだけどな…。
今更愚痴っても仕方ないので俺達二人は新しい家に向かうのだった。
「一軒家なんてよく買えたよな…」
二人で住むにしては大きい二階建ての一軒家の前に立っていた。
「お母様の話によると大事な愛娘と大事な息子が不自由ないようにだそうです」
「お、おう。
お母様は相変わらずだな」
俺は少し子煩悩な母親を思い出して苦笑いをしてしまう。
「とりあえずさっさと入って荷物整理をするぞ」
「わかりました」
そうして、夜が更けて一日が終了する。
この時の俺は知らなかった。
まさか、転校初日からあんなことになるなんて…。
**************
「風上 霧雨です。
よろしくお願いします」
俺はそう言って一礼をする。
まぁ、周りの反応は上々といったところだろう。
「では、朝礼だから五分後には並べよ」
先生も質問をしたい気持ちはわかるのか、五分の猶予を与えていた。
それと共に席に立つ人が大半で、そのうちの何人かは廊下に並びに行く。
俺は並びに行こうとしたところに結構の人が近づいてくる。
「ねえ、君は何の特異性があるの?」
「ちょっと、弟から情報が入ったんだが妹さんがいるのか?」
「君って変異型?それとも覚醒型?」
などと質問責めに合わされて並んだのは結局7分後くらいになってしまった。
どうやら、朝会というのは中等部も一緒らしくて、妹の姿が目に入る。
しかし、まぁこれはよくまぁ…。
吸血鬼に獣人にエルフに魔女に能力者とこれだけよく集まったものだ。
しかし、元は人だから全員人の形を保っている。
一番変化してるのは獣人の類だろう。
変化が少ないのは能力者だろう。
魔女は目の色が変化したりするらしく、変化はあるらしい。
それでも俺と同じタイプは一人もいない点が悲しい点だな。
遺伝子でも変異でも覚醒でもない。
ただそういう存在…そんな人間は誰もいない。
みんなにはその姿になったのは原因があり理由がある。
それは俺には無い。
そういう意味ではここでは俺は孤独になりそうだな。
そうして、人が集まっていき朝礼が始まる。
「ええと、起立!
れ…何だ」
礼の合図の瞬間…それは起きた。
無数の光の線が床から天井へと張り巡らされてその場の空気が変わる。
それはやがて法則性を作っていき、完成された幾何学模様ができていた。
「ん…あいつら」
俺はこの状況で冷静に見ていると、やけに異質な四人が目に入る。
その四人は焦った感じは見せているが状況を理解できている人の目だ。
これは…この状況をどうにかしようとしている?
瞬間、光が一層強くなり俺達を包み込む。
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