【魔女っ子タルトちゃん―授乳―】

「だう。あぅー」

 おっぱいください。お願いします。何でもしますから。


「ん? 今何でもって言ったよね?」

「は? 私は何も申しておりませんが」

「え? そう?」


 あ、それ言ったの私です。

 それにしてもさすがお母様。赤ちゃんの言葉でも聞き取っちゃうんですねー。

 さすがは魔王女王陛下様でございますですわよ。言葉を伝えられるってとっても便利です。


「まぁー。あっぃー」

 ママー。おっぱーい。

 お腹が空いたのですよぉー。空腹がヤバめなのですよぉー。

「あ、タルトちゃんだったんでちゅねー? うりうりー。ママのおっぱいが欲しいんでちゅねー?」

「あーいっ」

 わーい!

 おっぱいキタコレー!

「陛下。私は外に出ておりますので、何かありましたらお呼びください」

「なーに言ってるの。貴方は私の夫でタルトちゃんのパパでしょうー? 何を恥ずかしがる事があるんですか」

「陛下。そう仰いましても、今は公務の最中に御座います。タルト様が最優先なのは解ります。ですが、そういうことは私が居らずとも良いでしょう? いえ、私が居らぬほうが下の者への配慮となりましょう」


「ばぅ。あぁーいっ! おぶぅあっぁー」

 パパ。かたーい! 大丈夫だってー!

「ほら。タルトちゃんも大丈夫って言ってるじゃない。私がこの国の法なんだから大丈夫よぉ」

「ですが……。はい。分かりました。では、お側に控えておりますので、お声を掛けてくださいませ」

 とうとうパパは諦めたようだ。

 柔らかそうな革製のソファから腰を上げると部屋の入り口まで向かい扉の横に控えた。

 心なしか顔が赤らんでいるご様子。

「堅い男ねぇ。ほんと、まだ赤ちゃんのタルトちゃんのほうが柔軟よ。ねぇー?」

 パパとテーブルを挟んでソファに座っていたママは私におっぱいを飲ませながらクスクスと微笑む。

 まあ、執務室に赤ん坊を連れ込んだ挙げ句、その赤ん坊を抱っこしたまま秘書と執務を行うママが破天荒なんだと、元中学生の私でも分かるけど。

 魔属の女王の秘書、という肩書きを持つパパでも、ママの奔放さは制御できないみたい。

 て言うか、女王様ってこんなに自由で良いの? ちゃんとお仕事はしてるみたいだけど。

「まぁーぁいっい!」

 ママ大好き!

「私もよ! タルトちゃん!」

 むぎゅっ! と私を抱き締めるママ。

 ちょ、おっぱいに埋められると苦しいです!

 愛という名の圧がっ!

 マジパないから!!


(To be continued)

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