ELENORE 〜竜騎士ヴァレリと悪しき女神〜
哀楽
プロローグ
「ーー剣を取るがいい、ルギオン」
邪の名を冠するネクロマンスが、己の牙から作り出した剣を構え、言った。
髪も瞳も、鎧ですら黒一色の友から向けられた剣を一瞥し、ルギオンは悲しそうに目を伏せた。
「私を裏切るのか、ネクロマンス」
「ああ、そうだ」
「友よ、私はそれを望まない。剣をひいてくれないか」
「いいや、ひかない。お前さえいなくなれば、我が願いは成就する。この世界ーーセルバスティオンは私だけの物だ」
「その願いを叶えるために、どれほどの命を犠牲にするか、分かっているのか?」
「そんなもの、私の大願の前には、なんの価値もない」
「・・・・・・そうか」
慈悲のかけらもない友の野望を前に、ルギオンの決意は固まった。
友とは対照的に、全てが白銀のルギオンも、己の牙から生成した剣を手に、身構えた。
「お前の愚考を止めることこそ、我が使命。この命に代えても、お前だけは・・・・・・!」
「来るがいい、ルギオン。かかってこい」
共に歩んでいくと誓った半身の、黒々とした笑みを打ち消すように、ルギオンは頬に流れるものを拭いつつ、剣を振りかぶった。
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