露時雨

@rinsangloomy

ある日の朝。


"おはよう"

“おはようございます”


先に来ていた他の社員に朝の挨拶を済ませて、俺は自分の仕事場に入る。

はぁ… 大きなため息を―



朝礼まではまだ時間がある。

机においてある書類をなんとなく眺めて…

本棚から本をとって開いて…

椅子でくるくる回りながら

時間を潰す。


コンコン。


“おはようございます”

"今日も寒いですね、

今日の予定はっ…

今日は会議が10時と15時に入ってます。

そういえば、例の件どうなりましたか"


“ああ、わかった。

結構重要な会議だったよな、

例の件ね、、、

ため息も出るよな…

あれはね、手に負えそうにないね…

いくら、あの会社にお世話になってたとはいえ、

社員をまるごと引き取ってくれなんて、無理に決まってる”


取引先の

先代の社長が死んでからは、明らかに会社の質が落ちていった。

そして、そのまま潰れた。

まあ、予想通り。


だが、社員の行き場が無くなってしまうから

引き取ってくれ。

っていうのは予想外。

優秀な部下がいれば潰れずにすんだろうか。

否、上が無能なら下がどんなに優秀だろうが―



“ 一応、書類選考と面接だけはやってやるか。

前の社長にはお世話になったけど、あいつは

手土産の一つも持ってこなけりゃ、新年の挨拶もない。

なんだかなー。”


「わかりました。

では、先方に伝えときます。

面接ごっこをやるから応募してこいと(笑)」


“お願いします、かななめさん。”


よくできた秘書だこと。

俺がめんどくさいって思ってるの見抜かれてる。



そんなこんなで朝礼の時間だ。

今日も1日が始まる。


さぁ!張り切っていこう!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る