No.86「第2の故郷」

(ゴゴゴゴゴゴゴ……)

惑星アラーへと導く乗り物が動き出す。

『よ、よし…準備OKだ…。』『まるでノアの方舟だな…』『その時もこうだったのかもな…。』

(プシュー……)

『安全装置解除!!』『行くぞ!!』

ガコン!

『あれ?動かない!?』『なぜだ!?』『何かに引っ張られてる!!』『!!!あれを見ろ!!』

乗り物を抑えていたのはヒューマ・オールだった。

ヒューマ『マッテ…マッテ…。カアサン…。』

『ば、化物だぁ!!このロケットを捕まえるなんて…!』『どうする…!?こいつから捕まったら終わりだぞ!』『わあああああーー!!!死にたくないよぉーーー!!!』

『みんな落ち着け!!奴はまだ産まれたばかりの赤子のようなもの…。宥めればきっと大丈夫だ!』


ヒューマ『マッテ…マッテ…オイテイカナイデ…』

『大丈夫だよー!!また戻ってくるから!!お前を置いて行ったりしないよーー!!ちょっと出掛けるだけさーー!!』

ヒューマ『ホント…?』『本当さー!!だから良い子で待ってなよーー!!』

ヒューマ『ひゅうまモ…イキタイ…』

『良い子で待ってなヒューマ!!じゃないと、みんな悲しむぞーー!!』

ヒューマ『カナシクナルノ?ミンナ…』

『だから、それまで留守番頼めるかーー!!?』

ヒューマ『ワカッタ…!ひゅうま、ガンバル…!』


(ゴーーー…)

『ようやく出発できたな…。』『驚かしやがって…!!』『でも、アイツに嘘ついたことになるんじゃないのか?仕返し喰らわれたら…』『大丈夫だ!要らん心配は体に毒だぜ?』『見えた!惑星アラーだ!』

―惑星アラー人が見つけたもうひとつの星―

ここで彼らは生き延びていた…。だが、惑星アラーに行けるのは世に恵まれ選ばれた者たちだけ。元の星、地球では惑星アラーそのものの存在も知らない人々が大勢いるのだ。


『この星を第2の故郷にするしかないな…。』

『しかし、地球では0&Z計画を実行中なんでしょう?この星に長く居座るのは…』

『あんなもの成功するかわからんぞ?星を裏返す話しなんてワシは信じられんがな』

『星を裏と表に分け、鏡の向こう側の世界を創る…。信じられん話だ。』

『だが…それが本当になれば…。』『大したものだよ。パラレルワールドに行くようなものだ!』

『最後の希望よ…!頼むぞ…』

(ピピーッ!ピピーッ!)

地球から通信無線が入る

『0&Z、準備完了!神獣を薙ぎ払うシステムをヒューマオール全体にインプット完了しました!!』

『そ、そうか!では、直ちに起動せよ!!』

『は!…い、いやしかし我々は…!?』

『星と共に運命を共にできるなら本望だろう、君たちの活躍、努力…無駄にはせんよ…!!』

『なんと…!有難き幸せ!!人類バンザーイ!!!』


地球の人々『バンザーイ!バンザーイ!!バンザーイ!!!』


人々は狂っていた。世界の終わりに人々の希望は彼ら上位の人間しかなく、成す術なしにどうしようもなかったからだ。

『ヒューマ・オールー!!!神獣をー!!焼払えーーーッ!!!』


ヒューマ・オール『ピピッ。承知しました。裁定を下します。』


ウオッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!



真っ白な光と共に星はあっという間に黒く焼かれた。裁きの光によって青い星は黒く染まったのだ。


―100年後…。

もう地球の記憶は現在の人々にはなかった。

ヒューマ・オールを起動し、裁きの光を使った後、死んでいく人々が大勢居た為、数名を残し惑星アラーに住む人々から地球の記憶を消したのだった。

そんなある日…。興味本意で地球を見た科学者がいた。

科学者は驚愕した。星が驚く程の速さで青い星に戻っていたからだ。

『地球が…青い…?!』

その科学者は地球に向かった。

すると、100年前には見たこともない生物が星を行き来していた。『こ、こんなことが…。』

科学者が辺りを見渡していると、大きな巨人が迫ってきた『うわああ!!に、逃げろー!!』

???『お待ちください。我が主よ。』

『…。え?』

『長い間お待ちしておりました。私はヒューマ・オールです。』

『ひゅ、ヒューマ・オール!?ヒューマ・オールなのか!?』

ヒューマ『この星は今、主。貴方達の力が必要です。御助力願いたい。』

『…え、えぇえ…??』

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