第143話

 ―――気付くと、私はそこにいた。

 なぜか暗い場所にいて、ふわふわと浮遊してた。地面の感覚がなくて、スカスカしてて。

 現実味がなくて、ちょっと戸惑った。

(……あれ、ここ……………)

 さっきまでゴミ捨て場にいたはず。で、苺坂さんに蹴られて首まで絞められて・・・。

(……あぁそっか)

 そこまで考えてから、納得した。


 ―――私、意識失ってたんだっけ。


 ってことは、ここ・・・夢のなか?

 でも、夢のなかだとしたら・・・なんでここにいるのかがわからない。

(それに………)

 もしここが夢のなかだとして、どうすれば目を覚ますのか・・・。

 わからないのがつらい。

 まずは少し、足を動かしてみる。空気を蹴っている感覚しかなくて、進んでいるのかどうかわからなくなる。

 それから、手を動かしてみる。手から空気が零れ落ちている感覚。ちゃんと進んでるのかな?

(なんか……まぬけな感じする………💧)

 今の動きに、ほんの少し恥ずかしさを感じた。




 ―――数分後。

(……訳わかんなくなってきた………)

 いっこうに進んでる感じがしない。ていうか、今どこにいるのかわからない。

 夢のなかだから、あまり疲れを感じない。でも、精神的に疲れた気分がする。

 はぁ・・・とため息をつきながら、私は動きをとめた。




 ―――その時。

 まぶしい光りが、私を包み込んだ。同時に全身が懐かしくて暖かい温もりに包まれた。

 そして、ようやく私は目を覚ました。

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