第119話

「ええと………どんな話をするの?」

 雪ちゃんのテンションに、若干引きながら聞いてみる。すると雪ちゃんは、にっこり笑いながら、

「そりゃあ桃香の好きな人の話と、あと椿さんと奏人さんのなれそめの二つに決まってるじゃん!」

 と言った。

 って、私の好きな人!?初恋だってまだなのに・・・なのに、好きな人って!

「え……えぇ~…………。」

「あら、や~っと桃にもできたの?好きな人!」

 困惑する私に気付かず、椿姉もワクワクしてた。お姉ちゃん、こういうの好きだよね・・・・・・。

 私の部屋にある机の上には、雪ちゃんが持ってきた御菓子と、私お手製のクッキーが置いてある。それからオレンジジュースとコーラ、あと人数分のコップ。

 それぞれつまみながら、話に華を咲かせた。


 ふと私は今、悩んでいることを思いだし、思いきって雪ちゃんに聞くことにした。

「…………ねぇ、雪ちゃん。」

「ん~?」

 雪ちゃんがクッキーをかじる。

「少し、聞きたいことがあるんだけど………いい、かな?」

 雪ちゃんに聞きながら、恥ずかしくて俯く。

 彼女はクッキーを食べきると、うなずいた。

「どうしたの?ていうか珍しいね、桃香が相談なんて。」

「うん………あ、あのね?」

 少しずつ、私は今悩んでることを打ち明けた。

 ―――最近、ドキドキしていること。

 ―――翔君に会うと、嬉しいこと。

 ―――会うたびに胸が暖かくなって、胸が苦しくなること。

 それを全部、彼女に言った。

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