ひとくちディストピア

#2 あなたの願いをなんでもひとつ叶えてあげましょう

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いいえ。結構です。

そういうの、間に合ってますから。

いえいえ、本当に。

大丈夫です。

友達とモヤイ像で待ち合わせしているんで。

失礼します。

いや、本当にいいです。

いいですってば。

遠慮しますんで、はい。

なんでついてくるんですか？

え、なにこれ？

もしかして、テレビの撮影とかでした？

ちがう？

えっ？ えっ？

じゃあ、なんなの？

ほんと、なんなの？

わたしにツボとか自己啓発本売る気なんでしょ？

お引き取りください。

ちょっと、ついてこないでよ。

先を急ぐっていってるじゃないですか、わたし。

ホント、困るんですけど。

もう！

マジでなんなの？

なんでついてくるの？

あなた、しつこいですよ。

本当、超怖いんですけど。

警察呼びますよ。

え？

それは困るって？

じゃあ、わたしにつきまとわなきゃいいじゃない？

じゃあね。

ちょっ、ちょっ、引っ張らないでよ。

え、なに？

願いを叶えないと、帰れないって？

知るか。

てか、知るか。

エクストリームドチャクソ知るか。

あなたの事情なんて、わたしの知ったこっちゃないのよ。

ん？

なんでもしますって？

そうはいってもねぇ。

特になしよ。

と、く、に、な、し。

え？

それじゃあ、帰れないって？

そこまで願い事を欲しがるなんて、

欲張りわがままジーニアスにもほどがあるわ。

…よくわかんないケド。

よし。

じゃあ、わかった。

わかったわよ。

さっきの「ついてこないで」を叶えて。

不毛なやりとりしてても、お互い時間の無駄でしょ？

これでいい？

じゃ。

てかヤバ！

もうこんな時間！

ハルカ、絶対怒ってるって！

急がなきゃー！

＊

（桜庭）

以上、VTRで見ていただきましたのが、ポストゆとり世代、いわゆる悟り世代の回答の一例です。

もちろん、個人差はあると思いますが、こちらの円グラフを見ていただくとお分かりいただけるとおり、標題の質問に対して彼女ら悟り世代の約8割が特になしと回答、強いていうなら「時間」であるという結果となりました。

物金を要求してきた団塊の世代からバブル世代とはうってかわって、時代が進むにつれて、すでに物質で満たされた現代社会においては、物質的な欲求が減り、時間を要求するようになったことが見てとれます。

これまで世界中の国々は、国内総生産GDPを国の裕福さを示す指標にして、国際競争してきました。

しかしながら、どうでしょうか。

国民の感じる幸福感を基にした感性評価アンケート、世界幸福度をご覧いただくとわかる通り、我が国は先進国の中で最下位、国連加盟国の中でも96位、ちょうど真ん中くらいに位置しています。

経済先進国の日本は、幸せ発展途上国なのです。

幸せは個々人によって、種類や感じ方が異なります。

経済の1次元的な発想ではもはや未来に希望は持てないのであります。

では、どのようにすれば、国民の幸福度を高めることができるでしょうか？

本日は専門家の山里大学教授の松平貞敏先生にお越しいただきました。

松平先生、よろしくお願いいたします。

（松平）

よろしくおねがいいたします。

（桜庭）

さっそくですが、先生、幸せとはなんでしょうか？

その定義から、教えていただけますか？

（松平）

まず申し上げて置きたいことは、幸せと幸福は厳密には異なります。

英語にするとわかりやすいのですが、happiness と welfare です。

つまり、福祉ですね。

幸せは一過性のもの、幸福は恒久的なものだと捉えていただくとわかりやすいかと

LLLLLLLLLLLL

それは、こう解釈できるんですよね。平安物語でも、盛者必衰の理をあらわすっていうくらいですから。最近、某大手IT企業の不正がニュースで取り上げられましたが、そういうことです。あるいは、先ほどのマクロ経済の観点と似たように、幸せをミクロ経済と

LLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL

ガハハハハ。

桜庭さん、おもしろいこといいますねえ。

幸せなんてそういうものかもしれ

LLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL

であるからして、日本国民が幸せを感じることのできる社会は東アジア共同体にとって重要なことであります。

戦後、我が国日本は…。

（桜庭）

先生、先生。

申し訳ありませんが、一旦ここで休憩を取りたいのですが、そのまえに、標題について先生の回答をお聞きしたいとおもいます。

『あなたの願いをなんでもひとつ叶えてあげましょう』

先生はなんてこたえますか？

（松平）

そうですねえ。わたしだったら、永遠の命って答えますかね、ガハハ。

（桜庭）

先生、ありがとうございました！

ではここで一度、休憩に入りたいと思います。

15分の休憩をはさんで、再び政府の「あなたの願いをなんでもひとつ叶えてあげましょう」社会実験プロジェクトの成果報告をお伝えします。

会場のみなさん、配信でご覧のみなさん、お疲れ様でした。

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あなたの願いをなんでもひとつ叶えてあげましょう #2 〜豊かさと幸福感は比例するか〜

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202x/xx/xxに公開 - 「あなたの願いをなんでもひとつ叶えてあげましょう」社会実験プロジェクト報告会

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