3月です! 花粉症が気になり始めました!

千文字に五時間もかけた姉弟の話。


 こんばんは。木元です。三月ですね。


 昨日の午後二十三時頃から今日の午前四時まで、大学入学を控えた末弟の宿題に付き合わされて眠いんですよ。


 末弟は、入学する大学から事前学習として、指定された図書の感想文を提出するよう求められました。でも彼、作文下手なんですね。私はこの通り小説なんか書いてるぐらいなので、文書作成も作文も、困った事がありません。


 という訳で、末弟から図書の感想を聞きながら、それを文章化していました。面白そうだったからついやってしまったんですけれど、よかったのかなあ。これ一時世間を騒がせた、宿題代行じゃね?


 全部はやっていませんけどね。三分の一ぐらい。文章自体も下書きレベルの緩いものに留めて、後は自分の言葉で纏めなさいと末弟の様子を見張っていました。彼が書き上げた感想文を何度か読んで、修正のアドバイスもし。


 推敲まではしなかったんです。わざと粗さを残して、作文苦手な子が書いたんだろうなって分かる匂いを残しておきました。余り彼の実力から離れた内容の文章にしても、後でバレるだけですし。本当は直したい所、いっぱいあったんですけれど。でもそれをしたら、不自然な文章になってしまう。ああもどかしい。直すべきだと分かっているのに、それが出来ない。私仕事で文章を齧ってまして、もう言いたい事が山のようにあったんです。商品となる文章ではありませんから、いいんですけれど。


 作文が苦手な彼と、作文が得意な私が書いた文章が混ざり合うあの原稿用紙は、中々歪な味わいでしたよ。まず文章の硬度の差異で作者が二人いるってバレバレな上に、段落によって語彙に貧富の差が生じていれば、言い回しも明らかに異なってるんです。同じ姉弟でこんなにも変わるものなのかと、かなり興味深くもありましたが。文章とは作者の性質が出るという言葉は、やっぱり本当なんだと実感しました。また手伝ってやろうかなあ。


 面白かったんですよ。同じ本を読んで、同じような感想を抱いたのに、その感想をそれぞれで文章化すると、印象の異なる情報に見えてくるのが。やっぱり人間って面白い。感想文を完成させようと四苦八苦している彼とは、確かに温度差を感じた瞬間でもありましたけどね。私は眠気を飛ばす為にゲームしながらだったし。


 その歪な原稿用紙は、それが一人の作者によるものと見えるよう、彼自身の言葉に書き換えさせました。彼の文章力に合わせて劣化された自分の文章を見て、私はこんな冗長な文を似たような表現を多用してまで書かないと思いましたが、ていうか口にしましたが、そんな事言わないでよお姉ちゃんと、全く似ていないとなりのトトロのメイちゃんの物真似を披露されながら泣き付かれたので(非常に不愉快)、許してやりました。後でこの件の報酬を要求します。あんな千文字にも満たない地を這うような低クオリティの感想文を仕上げるのに、気付けば五時間も付き合ったんです。


 もう、本当、八百文字なんて余裕じゃーんと、仕事終わりでやっと休憩し始めたばかりだったのに、彼の頼みに乗ってしまった自分をシバきたい。何だ千文字に五時間って。有り得んだろ。私今日フッツーに仕事でしたからね。立ったまま寝るかと思ったわ。まあ、面白かったからいいんですけれど。


 作文の書き方って、どうやって教えたらいいんだろう? 必要な情報を抜き取ってから文章化するのが苦手みたいなんです。だから文章にまとまりが無く、長引きがちになってしまう。たとえば、三十分のアニメの内容を、二千文字程度にまとめて紹介しなさいと言われたら、苦戦するだろうなって分かるような。一から全部書いちゃうんだろうな。


 これから沢山文章を書く事になるだろう大学生活を控える彼が、私頼みで課題を乗り越えようとするような輩にならない事を祈ります。




 では今回は、この辺で。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る