「えっ? 修学旅行先がオーストラリアだった? うわーごはんマズッ――美味しくなかったんじゃないですか?」


 こんばんは。木元です。近隣の桜が、ぼちぼち散りそうになってます。もう半分ぐらい落っこちてますね。この前まで桜吹雪が凄かったものですが。


 外を歩くと、歩道橋に真新しい落書きが増えてまして、まだこんな事する人間いるんだなーと思いました。タギングって言うそうです。あのスプレー缶で、壁やらシャッターやらに落書きするの。なァーにオシャレにうとんねんただの迷惑な落書きやんけ。とは思いましたが、フランスでは上手なタギングは、アート扱いされるんだそうです。まあストリートアートって言葉もあるぐらいですしね。


 そんな! ストリートアートについての話はありませんでしたが! 先週、十年間フランスで生活していた方と話す機会がありました。


 現在その方は、大学で語学講師をしておりまして、本業は脳言語学、神経言語学をやっている研究者さんです。大学ではほぼ心理学しかやってこなかった私には、どちらも初めて聞いた名前の学問であり、「失語症学から派生した学問やろうか……」などという、美食の国で長らく暮らしていた方を相手に、大味な感想しか抱けませんでした。名前の通り、言語に関わる研究をしてますと、ちょっとした説明はして貰いましたけどね。英語を話すフランス人を用いて、脳の動きを見る実験をしていた……。とか何とか、ちょろっと話していた気が。学問なんて十年あれば名前変わるって言いますし、勉強していないとついていけませんよ。昔はただの「心理学」だったものが、「認知心理学」や「臨床心理学」と、細分化していったのときっと同じでしょうね。


 海外の研究者がフランスで研究をする。というのは、珍しいんです。何故その研究者さんはフランスで研究しようと思ったのかと言いますと、「食事が美味しい国だから」だそうで。


 食べる事とは生きる事。海外生活で最も悩ましいものとは食事。長く暮らすのにマズい国を選んだら死ぬ……。この研究者さん、ドイツ、オーストラリア、アメリカにも行った事があるそうですが、この三国はこの方にとって地獄だったそうです。「ドイツは最悪で……。アメリカは最低ですね」と、遠くに思いを馳せるような顔で言っていました。ドイツ人はシュニッツェル(とんかつみたいなやつ)と、ザワークラウト(キャベツの酸っぱい漬物)しか食わねーのかってぐらい店に食材置いてないし、アメリカは食材が少ない以前に水が日本人に合わないから、アメリカ行った日本人の知り合いは皆下痢の洗礼を受けたしアメリカで暮らすとは健康との戦いですね! とまあ大興奮で話してましたよ。仕事の話そっちのけで。お会いする十日前までフランスに滞在していたので、話のネタが尽きないそうです。


「フランスは肉も野菜も魚もあるし、食材で困った事はほぼ無かったけれど、ブリが何でか置いてなかったんですよねえ……。フランスではブリ食べないのかな? ここ十日、ブリばっかり食べてます。こう、煮付けて(フライパンと菜箸を操っているだろうモーション)。スーパーでブリを見る度に、『わあ、ブリだぁ!』って興奮しちゃって、もうカゴにどんどん入れちゃって(スーパーの鮮魚コーナーにて大量のブリを買い物カゴに入れているのだろうモーション)」


 「じゃあもうブリ人間ですね」というツッコミが頭に浮かびましたが、初対面の目上の方に向けていい鋭さを超えていたので、笑顔で相槌を打っておきました。大阪出身の方ならワンチャンありですが、「だから、こやって、危険を冒してでも笑いを取りに行こうとするんはほんま大阪の人間の悪いとこ!」と言い聞かせておきました(※大阪府出身者全員がこうした性質を持つ訳ではありません)。何で初対面かつ自分の倍近く年齢の離れてる方(※女性)にブリ人間と言い放とうとしてるんですか馬鹿じゃねえの。響きが半魚人っちゅうかクリーチャーやん。


 もー普段ほぼ大阪の方としか接していないので、こういう時感覚が狂ってるなとつくづく思います。普段職場で、ありもしない借金の返済について、「明日百万返してな」とか、「銀行燃えたので無理です」なんて、ふざけて日常的に話してるから……。「この案件を乗り越えるには……。奴に死んで貰うしか無い」とかね。とかねじゃねーよ。


 その後仕事の話には戻れたので、よかったんですけどね。その研究者さんは、フランス生活が長かった影響で日本語を用いるのが久々であり、読むのも話すのも問題無く出来るのですが、書くのが怪しくてですね。東京とフランスってどれぐらい距離があるのだろうかという話になった際、簡単な地図を描いてくれたのですが、「東京」って書けてませんでした。「東京」と書きたいんだろうなとは分かるぐらいに形は保ててたんですけれど、ひょろい甲骨文字みたいになってて。大丈夫なんですかね。語学講師なのに。まあ教えるのは英語なんですけれど。いやーでも日本語を使わないとは言えないでしょうそもそもここ日本なのに……。


 という事が、最近ありました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。私はまだまだ忙しそうです。



 では今回は、この辺で!



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