一口話 人生は、ラノベのようにはいかない。


 どうもこんにちは。鼻の穴と耳の穴にお箸を突っ込んで踊ろうです。


 突然ですが私、三人姉弟の長女なんですね。ちょくちょく登場するゲーマーの方の弟は末っ子で、ちょっと年が離れてます。長男の方の弟は私と年が近く、もう働いてますね。旅行が大好き。兎に角出掛けるのがもう大好きで、こないだなんてついにシンガポォールへの旅で、海外デビューを果たしました。英語全然出来ないのに、これまた英語が話せないらしいご友人と、ツアーにも乗っからずぶっつけ本番の二人旅で。相も変わらず無謀と言いますか。周りに心配をかける子だと言いますか。私が心配性と言うか神経質な質になったのは、彼の行動が大きいでしょうねえ。もうちっさい頃からあほな事ばっかりして。まあそれはいいとして。


 カクヨムさんをぷらぷらしてるとよく、ラノベのキャチコピーで、「妹」とか「姉」って単語を見かけるんです。「妹」が圧倒的ですかね。あっちこっちでもう妹妹妹子それは偉人の小野妹子。もてはやされてんなァ。全く夢に満ち溢れているぜ。いえ、決して野暮な話をしたい訳じゃないんですけれど、そういう作品を好む方って、実際に妹さんとかお姉さんがいらっしゃるんですかね? いないけれどもしいたら、嬉しいものなんでしょうか。もしくは、こういう妹か姉が欲しいという願望があるとか。まあ流石に性格は選べないですけれど、いたらいたで最小限の敬意は払って欲しいなと、私は弟達にぽつぽつ思う出来事があるのです。


 例えば朝。私、昔は弟達を起こしてました。今もたまにあるんですけれど。私は自分で起きられたんですけれど、弟達はまあ母か私に起こして貰う事が結構あって。「朝やで。六時やで。学校遅刻すんで」って。然し弟達は、まず一回では起きません。私だって何回か起こしに行くんですけれど流石にイライラしてきて


よ起きいやええ加減! 時計のアラームピッピピッピ煩いねん!!」


 と、怒鳴ってしまいます。ラノベならここはあれでしょ? お姉ちゃんが朝起こしに来てくれるなんて、ハッピーなシーンなんでしょ? ハッピーに早よ起きろや。


 もう暫くしてませんが母が仕事で遅い頃なんて、私が家族分の食事作った事もあるんですね。ほら、萌えるでしょう。女子高生か女子大生のお姉ちゃんが、ごはん作ってくれるなんて。レトルトじゃないですよ? 何ちゃらの素だって使いません。木元家ではそういったものは「手抜き」と呼び、「料理」とは呼ばないのです。母が古風な家の出身ですから。趣味だか花嫁修業だったか何だかで、華道・茶道・弓道の初段を修めているような人ですから。そんな家の娘ですから私だって、ちゃんと一から「料理」します。めんどくさくてキレそう。でも舌がそれで慣れてしまっている部分があって、自分で作る以上プライドが許さない。


 人に作って貰ったものは、絶対に文句言わないんですけどね。大変ですもん料理って。出されたら出されたまま食べます。後から調味料も、なるべく足しません。自分で作るならそりゃあ、つい最高のパフォーマンスを追い求めてしまいます。何で私って奴は、いちいち全力を出したがるのか。ブリのトマト煮、そうめんの担々麵風、葉ごぼうのとろろそばでしょう? まあこれはルー使いますけれど、カレーだシチューだ、あとは……肉じゃが、ロールキャベツを白菜で作って和風だしで煮るっていう、今までやったメニューで一番手間がかかって印象的だった、ロール白菜。などなどなど。まあレシピさえ渡してくれるなら、大抵のものは作りますよ。料理なんて慣れですし、レシピ通りにさえやれば、失敗のしようもないんですから。こなしてみせますよ。


 だから、マズくはないんです。決して。マズいものなんて出しませんから。ちゃんと作りますとも。だってのに末っ子の弟は私がいない隙に「辛い」だの何だのと、母に密告してやがったんですね。私辛党で、弟達甘党なんです。つい味付けで、好みの違いが出てしまって。私に面と向かって言ったら怒られるから、母にこっそり言ってたっていう。シバかれてえのかキサマ。折角作ったのに食べないとかね。我が儘言うんじゃないですよほんと。朝起こしてあげて、風呂だって掃除して沸かしてあげて、洗濯物だって干して取り込んであげてんのに何その態度。萌えろや。皿だって洗って片付けてあげてんだろ。萌え盛れよ。お前らのパンツだけ、干さないで放置してやろうか。ノーパン出勤とノーパン登校の刑に処するぞってですね、色々と考えちゃいます。「ラノベのようには、いかないな……」なんて思いながらですね、一人皿洗いしてた夜の事を思い出しますよ。そういう「妹」とか「姉」って言葉が入る、ラノベを見る度。私だってもっとこう、気の利く弟欲しかったワ。――何この疲れ切ってる話!



 今日は作業頑張りますよ!



 では今回は、この辺で。



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