今日もあと5分で世界は滅ぶ

脱兎

第1話

 俺の家のお隣に住む小鳥遊千冬ちゃん。

 花も恥じらう年頃の彼女は実は世界の命運を握ってたりします。

 事の発端は半月前に発売されたこのゲーム、『ジ・エンド』その名の通り、クリアできないと世界が滅ぶ、という題目の元、タイムリミット5分のミニゲームをするというものです。


 そして、そのゲームには、発売前からある噂がありました。


 曰く、このゲームには1つだけ、クリアできないと本当にこの地球が滅びてしまうソフトが存在すると。馬鹿馬鹿しい、そんなことあるわけない。俺も同じことを思っていました。

 そう、およそ二週間前の俺は。


 その日が誕生日という千冬ちゃんは、そのゲームが欲しいそうでしたが、売り切れていて手に入らなかったようです。

 昔から隣同士、何かと絡む機会の多かった俺に、気落ちする彼女をそのままにはしていられませんでした。

 偶然にも懸賞でゲットした俺は、そのゲームを千冬ちゃんにプレゼントしました。

 

 とても喜ばれました。

 そして、それが悪夢の始まりだったのです。


 

 千冬ちゃんがそのゲームをするのは、毎朝の登校前。

 自分の部屋で隠れてプレイをしています。

 しかし、カーテンが開けっぱなしで俺の家からは丸見えだったりします。

 悪いとは思いつつ、こんな運命を背負わせてしまった身、せめて行く末だけは見守ろうと覗いています。


 ゲームはプレイヤーにお題を出して、プレイヤーはそのお題を5分以内にクリアしないといけません。

 もちろん、条件的に不可能な場合もあるので、それは考慮されています。


 テレビにゲームの画面が出ました。

 今日のお題は果たして・・・・・・。


『サッカーのゲームで5得点しろ』


 体育の授業で5分以内に5ゴールを決めろとのこと。どうやっているのかはわからないが、このゲーム、千冬ちゃんの生活状況に合わせて出題を変えている。

 千冬ちゃんはちょっと引くほどスポーツが得意、これは簡単かも・・・・・・。


 千冬ちゃんが窓の外を見にきて、慌てて隠れる、天気を確かめに来たようだ。

 その瞬間、急な土砂降りが。

 

 可愛らしい顔を泣きそうに歪める千冬ちゃん。これでは世界が終わってしまう。




 ・・・・・・さて、天空の神様を殴りに行ってきますかね。




 今日も地球の平和は守られた。

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