1LDKの暗殺者
田城潤
暗殺者のいる1LDK
第1話 エピローグ
高校生活、それは輝かしい。
入学当初は過去の履歴の影響でクラスに馴染めなかった俺だが、そんなものは時間が解決してくれた。
周りには明るく楽しい友達、そして可愛い女の子達、リア充はここにいた。
そう、俺である。
七島 風音の名前を授かり、見事勝ち取った夢のリア充ライフ、1LDKのリビングで俺は近所迷惑も気にせず高笑いをしていた。
全く、涙が出そうだ、
何故かって?
「ワオ、……何だろこの見覚えのある黒い手紙」
そして、
「何故お前がここにいる!?」
リビングの中央で立ち尽くしながら俺は黒い手紙を持つ人物へと問いかけた。
「お仕事の時間です、ジャック」
ジャック、それは忌み名。とうの昔に捨てた筈のコードネーム。
「俺の名前は七島 風音だ、ジャック何て名前は知らない!」
「その名前ですら貴方を育てた組織が授けたものですけどね」
皮肉っぽく言ってくれる、確かに俺の名前は組織から貰ったものだ、物心つく前に捨てられ、引き取られた組織から授かった俺の名前。
「もう一度言います、お仕事の時間です、ジャック」
「断る、と言ったら?」
俺が目の前の人物に、そういうと、
「貴方のガールフレンドを一人ずつ殺していきます」
「いやその言い方だと俺は女たらしのクソ野郎じゃね?」
「……真実では?」
「百パーセントありえない、生まれてこの方彼女なんていた事無いし、俺はまだ新品だ」
そうだ、俺は新品、汚れてなんかいない。
いや、そう言いきれるのか?
「……貴方の手は、とうの昔に汚れていますよ」
悲しげに、儚げにそう言う、それはまるで何かを諦めた声音で。
「……私の初めてを奪ったくせに」
「その言い方だとな!」
「嘘ではないです」
初めてを奪った、確かにその言葉に嘘は無い、しかしここで言うこの言葉の意味は違う。
にしてもだな、
「……とりあえずその後ろのデカい荷物は何でしょうか」
「今日から一緒に住みますので」
「断ると言ったら?」
俺がそういうと目の前の人物は懐から素早く一丁の拳銃を取り出して、
「貴方の息子は預かった、断れば撃つ」
「……了解した」
いや、この了解ってのは一緒に住むことへの了解ってだけだからね?
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