第17話 約束
「やっと‥ついた」
がむしゃらに走り、なんとか追いついた。
天門のあたりはすごい賑わいを見せていた。そりゃ、そうだ。ここに天の遣いがやって来て、選別者を連れていくのだから。そして、ここが師匠がいるであろう場所だ。
「‥‥いた」
人混みを抜けると、師匠は、共に行く4人と話していた。作業をこなすかのように退屈そうだ。だから、ボクは大きく息を吸い、
「し、師匠ーーーーー!!!!!!」
ありったけ叫んだ。たぶん、師匠だけじゃなくこの場所にいるみんな、ボクを見ただろう。そんな事は気にせず、師匠の所に歩みよる。師匠は、嬉しそうにしている。そして、
「行ってらっしゃい、師匠。悪魔‥絶対に倒して帰ってきてね。その、なんていうの‥あの、アレ、小指のやつ。」
しまった。大事な所で言葉を忘れた。さっきみたいに格好つけたかったのに。でも、師匠は笑って、
「ハハ、相変わらずだなぁ‥、"指切り"だろ?ほら」
そう言って、小指を差し出す師匠。ボクは、自分の小指を絡め、小指同士を固く結んだ。少し痛いぐらいに。
「折角だ、"約束"ってやつをしよう。俺は一匹でも多く悪魔を倒す、だからお前は、1日でも早く戦いに来て、俺と一緒に戦うんだ。いいな?」
「うん、"約束"‥‥だからね」
ボクと師匠は、"約束"をした。そして、戻っていこうとする師匠を呼び止めた。言わなきゃいけないことが、まだあるから。
「あの‥‥ねえ!師匠!」
「どうしたんだ?カアレ」
師匠の顔は、とても誇らしげだった。
そうか、なら‥‥いいかな。
「何でもないよ、今はね。もし‥悪魔と戦っているときに、会えたなら言うよ、これも、"約束"ってやつでしょ?」
「あぁ、楽しみにしてるぞ」
そう言い合ったボクと師匠は、お互い、目からたくさん水を流して、抱き合った。
がんばってね、師匠。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます