第17話 約束

「やっと‥ついた」

がむしゃらに走り、なんとか追いついた。

天門のあたりはすごい賑わいを見せていた。そりゃ、そうだ。ここに天の遣いがやって来て、選別者を連れていくのだから。そして、ここが師匠がいるであろう場所だ。

「‥‥いた」

人混みを抜けると、師匠は、共に行く4人と話していた。作業をこなすかのように退屈そうだ。だから、ボクは大きく息を吸い、

「し、師匠ーーーーー!!!!!!」

ありったけ叫んだ。たぶん、師匠だけじゃなくこの場所にいるみんな、ボクを見ただろう。そんな事は気にせず、師匠の所に歩みよる。師匠は、嬉しそうにしている。そして、

「行ってらっしゃい、師匠。悪魔‥絶対に倒して帰ってきてね。その、なんていうの‥あの、アレ、小指のやつ。」

しまった。大事な所で言葉を忘れた。さっきみたいに格好つけたかったのに。でも、師匠は笑って、

「ハハ、相変わらずだなぁ‥、"指切り"だろ?ほら」

そう言って、小指を差し出す師匠。ボクは、自分の小指を絡め、小指同士を固く結んだ。少し痛いぐらいに。

「折角だ、"約束"ってやつをしよう。俺は一匹でも多く悪魔を倒す、だからお前は、1日でも早く戦いに来て、俺と一緒に戦うんだ。いいな?」

「うん、"約束"‥‥だからね」

ボクと師匠は、"約束"をした。そして、戻っていこうとする師匠を呼び止めた。言わなきゃいけないことが、まだあるから。

「あの‥‥ねえ!師匠!」

「どうしたんだ?カアレ」

師匠の顔は、とても誇らしげだった。

そうか、なら‥‥いいかな。

「何でもないよ、今はね。もし‥悪魔と戦っているときに、会えたなら言うよ、これも、"約束"ってやつでしょ?」

「あぁ、楽しみにしてるぞ」

そう言い合ったボクと師匠は、お互い、目からたくさん水を流して、抱き合った。

がんばってね、師匠。

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