第73話まじめなメイドとマイペースなぼくとエロスなメガネさん
……お姉ちゃん。これからは、ちゃんと……イオと一緒にこの世界で楽しく生きていくから。空の上からでもぼくらがいけないところからでもいい、見ててよ。
ねこねこ「……」
セアラ「ねこ……どうした?」
アラン「ずっと上を見ているけど?」
ぼくらもお姉ちゃんが退屈しないように面白いことするからさ。
さてと、心の声タイムはこの辺にして――傷ついた女の子を手当てして好感度あげよっかな!
ねこねこ「うーん? なんでもないよー。あ、それより二人とも怪我してるよ! ヒール!」
セアラ「お、おい、私は傷など……」
ねこねこ「いいから!」
セアラ「う、うむ……」
セアラはちょっと驚きながら素直に回復させてくれる。
……待って、セアラの方あんまりケガしてない。これじゃあすぐおわっちゃ――終わっちゃった。
アラン「あらあら……ありがとう。うふふ、優しいのね……どう、戦いの憂さ晴らしに私と――」
傷が無くなってちょっと破けた服からはみ出たおっきなパイオツを腕を組んで持ち上げるアランおねえさん。
すると、急に機嫌が悪くなったセアラがぼくの襟首を後ろから引っ張って、アランおねえさんから遠ざける。
あーあー、ぼくのおやつがぁー。
セアラ「ねこ、街の方も心配だ! すぐにでも戻るぞ!」
名残惜しそうな顔をするぼくとアランおねえさんだったけど、セアラはぼくだけに冷たい。
襟首を引っ張る力が強くなっていく。
アラン「あらあらあら……残念」
ねこねこ「ちょっ……苦しいから引っ張らないでよ! 連れてくならせめて抱っことかにしてよ!」
ぼくの発言に殺気のこもった眼光を向けるメイドちゃんはぼくを放るように手を離した。
乱暴に扱わないでほしいなぁ……これでも、疲れてるんだよ?
アラン「ねこねこくん、これ忘れてるわよ?」
あ、そうだった……攻略本。
尻餅をついて、お尻をさすっているぼくだったけどセクシーおねえさんの優しさに痛みなんて忘れた。
膝を曲げてぼくに目線を合わせてくれる彼女に、満面の笑みで分厚い本を受け取る。
ぼくの目線はというと、切れたタイツから見える綺麗な生足と目の前で圧倒的存在感を放つおっきなスイカに釘付けだよー。男の子ならしょうがないよね!
ねこねこ「いけない……ありがとう! アランおねえさん!」
アラン「あら……かわいい……本気で狙っちゃおうかしら?」
ねこねこ「ぼくはいつでもウェルカムだよー」
アラン「あらあら、たくましいわね。うふふふ……」
ねこねこ「その色っぽい笑顔もステキだね!」
アラン「……あら……何かしら……本気で好きになりそう……セアラに悪いわ」
ねこねこ「どうせならセアラと一緒にどう?」
アラン「それもおもしろそうね……うふふっ」
めがねをくいっと掛けなおして唇を舐めるおねえさんと、黙って我慢してたけど、そろそろ限界がきたお馴染みのメイド戦士セアラ。
ばっと振り返って後ろのぼくたちに怒声を浴びせる。
セアラ「人のことを勝手に巻き込むな! 早く行くぞ、姫様が心配だ!」
アラン「相変わらず忠犬ねぇ」
ねこねこ「そこがカワイーところだよ」
アラン「あら、それもそうね」
まったく反省の色を見せないマイペースなぼくたちにセアラは懲りずに怒り混じった声を出す。それでも、ちゃんと綺麗な声で怒った顔も可愛らしいのは流石だと思う。
異世界の女の子ってやっぱり素晴らしい。
セアラ「ねこ!」
ねこねこ「はいはーい。じゃあまたね、アランおねえさん!」
アラン「ええ。今度は泊りで来てくれると嬉しいわ」
ねこねこ「セアラと一緒に行くねー」
結局、最後までぼくたちのペースに振り回された黒い髪のぼくのお世話係ちゃんは頭を抱えながらため息を吐いて図書館の扉を開けた。
セアラ「……ハァ……この二人を会わせたのはやはり間違いだった。これでは私一人が疲弊するばかりだ……」
その姿がちょっとだけロイオと重なったように見えた。
うん、まだちょっとだけど……いつかもっと仲良くなって、ロイオみたいに一緒にいられると嬉しいな。
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