第18話ゆりってる
睡眠中のねこねこに向けられるメイドのゴミを見る目がヤバイ。うっかりとかで殺すんじゃないかって目だ。永眠させる気がある。
どんだけ嫌なんだよ。同い年。
セアラ「これと同じだと……? 男らしさの微塵もない子ヤギのような男と……」
オブ「せ、セアラ。あなた、なかなか失礼なこと言ってるわよ?」
ロイオ「あはは……まあ、こいつはそれが売りだから」
年下と分かって丁寧語はやめた。向こうも気にしていないようだし。
セアラ「どこに需要があるというんだ?」
ロイオ「しいて言うなら、画面の向こう側」
オブ「ロイオさんたちの世界は個性豊かなんですね」
ロイオ「そうでもないよ……俺もコイツも元の世界じゃ否定される人間だったし」
オブ「それは……辛いですね」
セアラ「……お前たちもか」
俺の言葉に表情を曇らせる二人。まずいこと言ったなとコミュ障の自分を呪いつつ、話題を探す。これだから、ねこねこに同行を頼んだのに……職務放棄だ。
ロイオ「あ、あー……えっと、セアラはなんでメイド服で?」
セアラ「うん? ああこれか。これは、近衛隊の正装でな。動きやすさを重視した戦闘服だ」
暗かった表情に明るさが戻って、少し嬉しそうに言うセアラ。小バカにせず言ったのがよかったようだ。
そして、めっちゃ食い気味に反応したのが鎧をガチャガチャいわせる姫様だ。
オブ「中でもセアラのは、私がデザインした特注品なんです! ちゃんと背中に剣を背負えるようにしたし、可愛さだって他の近衛より一枚も二枚も上よ!」
セアラ「姫様! 私は可愛くなど――」
オブ「何言ってるの! セアラは領内でも一番の美貌を持ってるわ。他でもない領主であるこの私が断言する!」
セアラ「……あ、ありがとうございます」
俺、蚊帳の外、なう。
向かいで百合の花咲いちゃってるよ。あの堅物そうなメイド戦士があんなにデレるの堪えてるよ。堪えきれてないけど、顔真っ赤だけど。目をそらして下唇噛んで誤魔化そうと躍起だ。
預言者ねこねこの偏見が的中したな。
こいつの勘、スゴイと思う。ゼウスさんもだが、火力厨は勘がすごいのか?
と、ここで急に馬車の動きがおかしくなる。
運転手「な、なんだありゃ!? モンスターの群れがまっすぐこっちに向かってきます!」
どうやら、お仕事の時間が早まったようだ。
百合の花は消え失せて、むしろ警戒心剥き出しの戦士が俺の前にいた。
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