遠くの視点

グラス

私の心が割れたのに

他の全てが割れていない

私の心が割れたのに

この世界は時間を正確に刻んでいく

心は見えない

割れていても いなくても

誰しもが抱えてる心の傷も

貴方への想いでいっぱいの心も

目に見えない 触れない

私の心が

こんなに割れてるのに

あの透明で輝きのあるグラスは

無傷のままそこにあった

ねえ

私こんなに傷ついてるのに

なんでそんなに平気でいられるの

美しいままで

陽の光を通して

輝きを放つそれが

今日の私には目障りだった

心がどれほど割れてるのか

自分の目ですらも見えないから

形にしたかった

表したかった

方法が破壊しか浮かばなかった

生まれた時 子どもの時は

あのグラスみたいに

透明で 美しくて 汚れがない

輝きを放つ心を持っていた

それが いつのまにか

叩かれ 汚され ひび割れて

欠けた破片は誰かを傷つけ

グラスは濁り始めた

心が割れた

グラスを割った

叩きつけて割った

大きい破片が

四方八方に飛び

砂のような破片は

キラキラと飛び散った

濁ったグラスの中にあった

僅かな輝き

いつかどこかで見えなくなった

僅かな輝き

まだ消えてなかった

だから傷ついて割れた

輝きが消えていたら

割れることも無かっただろう

周りには誰もいなかった

破片は私だけに刺さり 傷ついた

私の心と

このグラスは

同じように割れて

集められた破片と粉は

同じように輝きを放った

グラスは修復できない

棄てるしかない

罪のないグラス

心は修復するのに時間がかかる

苦しくても棄てることも出来ない

ありもしない罪を抱えた心

割れたままで浮いている