第8話 神様が現世に干渉しない主な理由

 納得済みだが成り行きで世界を救うことになってしまった。


「そういえば勇者っていつ召喚されたんだ?」

「ああ、確か一ヶ月程前じゃったかのう」


 近いような遠いような感じである。

 とは言え俺はロリ神様の使徒として勇者に同行するわけだが、使徒としての心構え見たいのはないのだろうか?


「安心せい、わしの威厳が損なわれなければ何をしても良いのじゃ。

あと、お主は舐められないような言動を心掛けるべきじゃの。

まぁ、お主とわしが舐められなければそれでいい。」

「んー、無駄に尊大になればいいのか?」

「それでもよかろ。」

「安心してくれ演技は得意だ。例えばこう、

『我が主より仰せつかったこの使命、無事果たして参りましょう』

こんな感じでいいかな。」

「少しやりすぎと思わざるを得んがまぁ良いじゃろう。」

「所で俺は向こうさんに召喚されるのか?」

「いいや、明日の正午に謁見の間へと送りつけると言ってあるのじゃ。心配することはなかろ」


 ならよかった。

 それでも俺は気になることがあった。


「称号って何?」

「システムに技術又は何かを認められた者のみが持つものじゃ。

精霊と契約したときにも称号は発生するし、称号がないと精霊に力が借りられない。

但し、ちゃんと抜け道もある。わしの神様権限でお主に【武術を極めし者】を与えたわけじゃが、システムの与えた称号はシステムでさえ消去することは不可能じゃ、つまるところ、資格を持たざるものが称号を持つという明らかに可笑しな現象により世界にバグや歪みが発生するのを防ぐための機能により、武術の何たるかや体の動かし方等をお主の頭にインプットさせるわけじゃ。

しかしデメリットとしてやりすぎると歪みが発生してしまうがの。」

「そんなことが...と言うよりスキルが無いがこれは平気なのか?」

「まぁ、何のスキルもなしにこの称号を得た者も居るくらいじゃからのう。おかしくはあるまい。

しばらくは違和感があると思うがの。」


 そういうものなのか。


「そうそう、お主、恐らく勇者に初っ端からステータスを覗かれると思うのじゃ。

その時にヒーラー等と言われたら舐められるに決まっておる。今のうちに変えておくのじゃ。」

「この転職ってスキルを?」

「うむ、念じるだけでよいぞ。」


「『転職』」


――――――

何に転職しますか?


→虚無魔道士

処刑人エクスキューショナー


――――――


 とりあえず迷わずに処刑人を選択。


『転職の申請を確認...成功』


 久しぶりにシステム君の声を聞いた気がする。


「職業を変えたが他の職業のスキルを使えなくなるのか?」

「いいや、そんなことは無い。じゃが、使用時のMP消費が1.5倍になるがの。」

「1.5消費とはこれはまた面妖な...」

「いや、ステータス等には小数点以下は反映されないのでな、お主は何が起きようとも1じゃ」


 それは驚いた。


「じゃが、処刑人以外の職業で処刑人スキルは使えないから注意することじゃ。」

「あいよ。」


 しかしながらなぜロリ神様本人が出向いて魔王を討伐しないのだろうか。

 神が現世に干渉するのは無理、とかいう設定がよくあるからそれかな?


「神が現世で何かしたから自分で解決にいけない?」

「そんな感じじゃの。詳しく知りたいかえ?」

「頼む。」


「そうじゃの、昔、今は無き帝国は兵器開発を主とし、それの最終系として神の如き権能を持つ兵器を作り上げた。否、作り上げてしまった。

それに気づかなかった人間の技術者たちは、暫定的に人類の居住区の管理をさせ始めた。

しかし、その神々が暴走し始めたのじゃ。神々は人を機械的に管理し、人々の叛意を抱かせての。

その結果起こったのが終末戦争ラグナロクじゃ。旧世代兵器と新世代兵器の戦争。所謂人と神との戦争じゃ。

まぁ、結果から言えば勝ったのは人類、人類というより旧世代の超戦略兵器ダインスレイブの一人勝ちともいえるがの。

かの兵器ダインスレイブには神々に対抗するためある装置をつけた。なんじゃと思う?」


「空間断絶か何かか?皆目見当もつかん」


「正解は幽体離脱を人為的に引き起こし操縦者さえ兵器の一部に組み込む装置じゃ。

これによりダインスレイブは超越的な性能を遺憾なく発揮し、あらゆる神を討ち倒したのじゃが、最終的に先代の管理神、名を確かティフォンといったかの、そいつと相討ちになり、ダインスレイブは神格を得、機能を停止し、地の底に沈んだのじゃ。

じゃが、極めて生物に近い神々と違い、ダインスレイブは完全な機械、自己修理装置も積んであったゆえ、修復自体は可能だった。しかしまぁ、修復のための機構が殆ど神々との戦闘で破壊されておったために、とてつもなく長い年月を掛けねば修復が不可能じゃった。

そして1000年が経ち、ダインスレイブは居るはずの無い神を探し、自分から発せられる神の気配に戸惑い世界を破壊しつくしながら回った。

その時にはわしが直接ダインスレイブに引導を渡してやったわい。

もうすでに機械神と化していたので梃子摺ったがの。

その戦いで世界への影響がとてつもなく大きく、歪みも多く発生したからの。それ以降は現世には直接干渉せぬと心に決めているのでな。」


「そんなことが」


 意外に壮大だった。

 機械神ダインスレイブに先代管理神ティフォン。異界防衛術召喚で召喚できない物か。

 もしできたとしても操縦者まで召喚できるのか?兵器の一部とロリ神様が言っていたし恐らくできるであろう。


 それにしても、機械神とは...

 物凄いロマンの塊である。

 是非この目で見ねば 

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