1 登校
医者になりそこねた男の小学校の卒業文集
"僕は、友達を100人こそ作れませんでしたが、この古市第二小学校にかよってたくさんの友達を作りました。"
長期療養をしてしていた古市第二中学の理科教師の
左手には、台車に載せた大きな布をかけた人体標本模型らしきをキュルキュルと押し、右手には、覆いをかけた箱型の水槽と出席簿と中学校指導要領を持っている。
始業のチャイムが鳴ったあとだというのに、教師の鈴原が通ろうと生徒の誰一人教師に入ろうとしない。
まったく威厳ゼロの教師である。
今の時代では考えられないくらい古いタイプの銀縁のメガネに髪はボサボサ。無精髭は確実に一週間分、白衣をきているので、どうにか教員であることの体裁を保っているが、確実に実年齢より二十歳は老けて見えるダサい服装をして廊下を歩いてくる。
向かうは、二年四組。
鈴原正が担任を務めているクラスの理科の授業である。
鈴原の長期療養中に季節は、二つ変わっていた。春から、夏を経て秋へ。
廊下の窓から見える校庭の樹木は、すっかり紅葉して落葉し始めている。
窓から入る風も恐ろしいほど冷たい。
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