竹執物語~宇宙開拓の章~
FallTwincle
プロローグ
西暦7333年。
~時は73世紀~
~地球はエネルギー枯渇・新エネルギー開発による環境の破壊が進む中、宇宙開発を進行させ、宇宙への領土拡大を進めた~
~宇宙三大都市である地球・火星・水星の実力拮抗により激化は免れていたが、歴史は繰り返されるという言葉はよくできたものだ…異人間での争いは避けられなかった(なお、現代において『国と地域』という言葉は死語であり、三つの惑星に国が振り分けられている。水星には日本・アメリカ・北ヨーロッパなどがあり、火星にはインド・中国が振り分けられている。尚地球は母星としていまだ権力をもち続けており、旧世界のハワイのように多文化となっている)~
では本題に移ろう。
軍事開発の過程で生まれた最強の植物—―武器及び食料として脚光を浴びたのが…
そう、諸君もわかっているであろう「竹」である。
元から硬く鋭く自然繁殖可能な「竹」は、遺伝子組み換えの高質化により、劇的に強化された。
その鋭き槍は鉄や電磁フィールドをも穿ち
その硬き刀身は核融合にも耐え、
その圧倒的な繁殖力は食糧不足から人々を救い、
圧倒的な兵力量を産んだ~
~これは争いのために強化され知識を与えられた竹達が、
清き心を持つ人類と手を組み
愚かな世界を粛正する物語である~
~侵略!竹執物語!
竹が開拓き《ひらき》人々の指揮を執る物語~
ここは水星新日米連合領土C地区…通称カルム第3地区。
日米連合領土には韓国や東南アジア・北アメリカ大陸などが存在している。
ここに住む一人の若者・キュラは、平穏なこの国で友と穏やかに暮らしていた。
「いつもの」四人組で遊んでいるセナ、ラピ、マシュは、超人鬼ごっこ(とでもいうべき、壁・障害物・能力を駆使する遊び)をするような、今には珍しいような――技術の進化した今ではゲームをリアルに感じることができる――アウトドアな少年少女であった。
~余談だが、この世界では宇宙人との交流が少なからずある。
この国の機関が宇宙人の生態調査をしていた時、宇宙人はそれぞれが特有の能力を持っていたとわかっている。特に、私たち「第17世代」と呼ばれる実験体から、毎年生まれる子供の一部に宇宙人の血を与えることになっている。まあ、この国の技術は伊達ではないので、体(外見)の変化はないのだが。
そのおかげ――せい、というべきか、私たちは能力を付与されている。
例えばキュラは『透視』、『探知』。
キュラたちはまだ年齢が十五,六程度なので、能力は完璧に活性化していないそうなのだが、最大4メートル近い厚さの壁の先も見れる。
また、レーダーを出し、半径10メートルほどの超音波を出し、探知ができる。~
「ちょっ…追いつけないっ!」
息を切らして走っているのはキュラ。
そして、その先を明らかに速いスピードで走り抜けているのはセナ。 セナの能力は『加速』。
現在は秒速10メートルで走っているが、最速で走れば、持続時間は短くとも秒速130mを誇る。これは実に時速468キロメートルに達し、最速のヘリコプターであるシコルスキーX2、最速のバイク、ハヤブサに追いつける。
「…っ!ちょっと待って!そっちはダメ!」
ラピが少女のようなの声で、大きく叫ぶ。
悲鳴に近い声だ。
彼女の能力は『感情操作』。人々の感情を察知できる能力を持っているため、『探知』ほどの精度ではないが、常に気配を察知できる。しかしキュラとは違い、感情がわかる為、範囲内の標的に限り、敵味方の判別がすぐにつく。その彼女が、何か危険なものを察知したというのだ。
「遅い!」
何者かが叫ぶ。否、勝ち誇ったトーンで独り言のようにつぶやく。
刹那、セナとラピが連れ去られる。
一瞬の間に確認できたのは、濃い緑のローブと固まった血のような赤黒いブーツを身に着けた人物。
咄嗟に怪しい人物を追いかけ、足を必死に回転させる。足止めのために、マシュが電気を放つ。
左手から放たれた電撃は5000ボルト。しかし、謎のローブに阻まれる。絶縁というわけではなさそうなのに…。
この敵は常人とは違う。少なくとも、自分たちとは違う技術や異なる能力を持っている。
こちら側の心に追い打ちをかけるように、2人、3人と敵の仲間と思われる人物が増えてゆく。
「クッ…一旦逃げるしかないのか…?」
キュラたちが敵に囲まれ、絶望の淵に落とされていた時、
空から金色の槍が急降下してくる。
槍は穏やかな輝きを放ち、敵を貫いて飛び回る。
敵は貫かれると、煙となって消える。
ピンチは逃れたが、2人をさらった敵はいなくなった。
しかし、ほんの少しでも安堵してしまったのが間違いだった。背後からもう一人が現れ、気を失った。
これはただの誘拐事件でもなければ宇宙に股に掛けたゴタゴタの始まりでもない。
まさか、彼らが世界を、宇宙を変えることになるなど、誰が予想しただろうか。
そして、あの謎の物体は何だったのか。
少なくとも、この時二人は知らないだろう。
第一話 完
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