戦慄
つい先ほどの事である。
私はその職業柄―自宅療養中だが―、冷凍うどんを頂く事が多い。
冷凍うどんの利点は、お湯をかけて解凍する事でおなかを冷やさない食べ物として頂ける事。そしてトッピングの自由度が高く、選ぶのが楽しい事だ。
そう、温かく頂ける。前述のつい先ほどまでは、わたくしもそう思っていた。
冷凍うどんを丼に二つ入れ、沸かしておいたお湯を注ぐ。そして、熱湯で解凍されるのを横目に、トッピングを載せ、そばつゆ少々とレトルト味噌汁を一袋入れる。こうすると、そばつゆだけでは生み出せない味噌による深みが生じ、大変美味しいのだ。
それからしばし待つ。急いで頂いたりすると、猫舌の私は自爆してしまう事があるからだ。
……それから2分は待っていないはずだ。
私は丼を持った。そこで私は異変に気付いたのだ。
冷凍うどんを二つ入れたとはいえ、注いだのは熱湯だ。故に、なかなかに熱いはず。
それが、感じ取れないのである。
(……?)
私はつゆを少々飲んでみた。
ぬる過ぎる。最早少々冷たい。
馬鹿な。私は震える箸を運び、うどんをすすった。
「冷たい……」
何という事だ、二つのうどん玉は、その質量と冷凍具合で、熱湯を水に戻していたのである!
お湯を足す余裕は丼にはもうない。
私は、水に戻す犠牲と引き換えに、完全解凍されたうどんを頂いたのであった。
合掌。
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