夢枕頭問題集

大太犬尤

第1話 スナーク狩り

スナーク狩りを行なってもらいます。

スナークはいわゆるスナークです。

スナーク(現実に代入される変数としての幻想)がブージャム(夢見心地の現実主義者、その日和見的天気予報)であれば、あなたは途端に消え失せる。あなたが消え失せる事象の意味を敢えて言語で表現するなら、熱いトタン屋根シュレディンガーの猫です。

夏の陽射しにジリジリと焼ける屋根の上に於いて猫はそのまま焼け死ぬのか 、飛び降りるか、猫は飛び降りても死なないさ。

ブージャムとはフォークと希望HOPEで追い立てられた、”あなた”でもある。

しかし、”あなた”がスナークであるが故に、”僕”は存在できない。だからこそ指貫と配慮でもって、”あなた”と”僕”の存在の独占を保証する。コレがスナーク狩りの目的です。

残念ながら意味を伴う文字列は有限、言葉は言葉であるが故にそれはそのままつまりそう、嘘であり、感じたままを感じさせることはできないのだという絶望に、常にうなだれながら、無為に無意味に言葉を紡ぐ虚無の営み、いずれ辿り着くであろう全ての可能性ある文脈に、交信の果てに意味性を去勢された言葉の群れに虚勢を張って虚妄の演説を行っていきましょう。無謀にも。

私は、ほとんどユーモアなんか分からない、あなたがふと笑みを浮かべるその瞬間に、僕が愛するあなたとの違いをまざまざと感じながら、独りよがりに、何が楽しくて、何を共有するのか、何もかも違うと絶望しながら、所詮何もかも同じとも絶望し、わかろうともせず、わかった気にはなっていた。

それでも僕は、微笑みとお世辞には籠絡されやすく、口車に乗せられて気づけば火の車なんてしょっちゅうだ。

前置きが長かった、燃え盛るミーのカーの中であなたは溶け落ちるルームミラー越しに僕を確認して、それがブージャムでなければあなたはやっぱりそこに在り、そしてさぁやっとこさスナーク狩りに取り掛かる。

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