SSのS

月詠嗣苑

第1話信恵さんの一日

信恵か一日は、朝の挨拶から始まります。


『おはようございます。』


「はぁっ、どや?息、白いやろ?」

「僕も!はぁっ!」


黒いランドセルを背負った男の子二人が、大きく白い息を出しながら、交差点を渡ります。


『おはようございます。今朝は、寒いねぇ!』


 信恵さんの斜め前にムスッとした顔で座ってる信一さんに挨拶をします。


『あぁ。今朝は、とびきり寒い。』



昼時になると、小さな赤ちゃんを乗せたベビーカーを押すお母さんが、道を通ってます。


『こんにちは!まだ、寒いから風邪ひかないようにね!』


信恵さんは、小さな子供が大好きで、通る度に嬉しくなります。


「さぁ、まーくん。おうち帰ろうね」


お母さんに名前を呼ばれたまーくんは、嬉しくてご機嫌です。


『私も子供欲しかったぁ!』


『無理だろ?そもそもあんた···』


信恵さんは、信一さんを睨み、信一さんはそっぽを向きます。


『私だって、まだ若いんだから···ばかっ』



午後の3時になると、近くの公園からゾロゾロとゲートボールをしていたおじいちゃんやおばあちゃんが、楽しく笑いながら渡ってきます。


『こんにちは。あ、お加代さん!元気になった!良かった』


信恵さんは、ちょっと安心しました。少し前からお加代さんは、風邪をひいていたのを知っていたから。


『源蔵さーん!早くお孫さんまた連れてきてぇ!』


自転車の荷台にゲートボールのスティックをつけた源蔵さんが、歩いています。



夕方になると、辺りは暗くなり寂しくなりますが、信恵さんと信一さんは、ニコニコしながら話してます。


『そりゃ、まぁ、可愛いっちゃ可愛いが···』


真っ赤な顔した信一さん。


『じゃ、もう一回···言って。そしたら、私···』


信恵さんも顔を赤くしています。


今度こそ、言ってくれるに違いない、今度こそ···


期待を胸に信一さんを見る信恵さん···



『って、ゴラァッ!!信号無視して走ってんじゃねーよ!!って、信一さん?どうしたの?』


信恵さんが見ると、信一さんの顔は青くなってました。


『い、いや。だ、大丈夫。』


信恵さんの意外な面を見て、顔を青くした信一さんは、これから先ちょっと怖くなりました。



赤くなったり、青くなったり···


信恵さんと信一さんのカップルは、面白いですね。



『ちょっとぉ!!私のこと、忘れてない?』


おやおや?もう一人、信世さんがいたの忘れてましたね。

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SSのS 月詠嗣苑 @shion_tsukiyomi01

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