弱肉強食

月詠嗣苑

第1話新しい仕事

「弱肉強食」


001-新しいお仕事-


「よ、宜しくお願いします。」

「じゃ、こっち来て。紹介するから・・・」


 前の職場を辞めて、3ヵ月。やっと仕事が見つかり、今日は初日。春子は緊張した面持ちで、店長の望月の後を追い、社員一人一人に挨拶して回った。


「実際やってみないとわかんないけど、江口さん仕込みも厨房、ホールも経験あるからなんとかなると思うよ。ね、中島さん」


 望月店長の横にいた中島営業部長が、


「ま、なんとかなるんじゃない?人、いないんだし。頑張って!」そう言い、奥の椅子に座っている体格のいい男性を手招きする。


「ハイ、ナンデスカ?」少しタドタドシイ喋りではあるものの、ベトナムから留学しているマン・ソイックが、近づき春子を見下ろす。


「今日から、仲間になる・・・」望月が春子を見、


「江口春子です。宜しくお願いします」軽く頭をさげる。

「ハイ、ヨロシクネ。」

「じゃ、わかんないことあったら、マンに聞いて。他にもバイトの子いるけど、来てから出いいから」


 望月は、中島と何かを話しながら、厨房を出て行った。


「ハァッ、ヤットイッタカ・・・。」

「・・・。」


 久し振りの仕事で、アタフタとしながらも、1日1日が過ぎていき、自分の娘と同世代のバイトの子と色々と話すようになってから数週間後・・・


「おいっ!みゆ!」


 忙しい週末の土曜日。ドリンクバーで慌ただしく注文された生ビールや酎ハイを作っている阿井美憂が、


「なんですか?」と返事をする。

「13卓のドリンク!まだか!」大きな声で言う。

「まだです。急いでやってます」

「早くしろ!」


 どの店員も世話しなく動き、春子も厨房で出来上がった料理を運んだり、汚れた食器を片づけたりと動いてる。


「茜!20卓早くバッシング!!」

「はい。」


 倉田茜は、もともとドリ場専門だったが、望月にシフトも事で反発し、ホールに回され慣れない手つきで片づけを始めるも、


「おい、加奈!やってやれ!」


 片山加奈が、茜と一緒に片づけを始め、


「大変お待たせしました。こちらでお願いします。」

「・・・。」


 茜はまだテーブルを拭いている。


「おい、早くどけ!ったく、おせーな」


 イライラしながらも、客を通していく。


 そんな忙しい時間もなんとか過ぎ、


「あっ、江口さん。上がっていいよ。お疲れ様!」


 中島が、大きな声でいい、春子はマンに


「お先に失礼します」


 声をかけてから、帰り支度を始めた。


「あっ、茜ちゃん。帰るの?」

「ううん。店長が話があるっていうから」

「ふうん。じゃ、またね!」

「・・・。」


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弱肉強食 月詠嗣苑 @shion_tsukiyomi01

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