妊娠8ヶ月で合体!ゲハレンジャーロボ!!

ちびまるフォイ

カラーバリエーションも豊富にご用意しております

「ゲーム機合体!! ゲハレンジャーロボ!!」


放送時間残りわずかとなったので巨大化した敵を前に

ゲハレンジャーも巨大合体ロボを呼び寄せた。


「いくぞ!! 必殺!! ワイヤレスコントローラーアターーック!!」


右手のコントローラ・ブルーがロケットパンチのように飛び出した。

敵のみぞおちにヒットし、爆散させた。

今日も世界の平和は守られた。


「……ん?」


敵がいなくなった後で、ゲハレンジャーイエローは気付いてしまった。

合体ロボの下腹部に妙なふくらみができていることに。


緊急会議が開かれたのはその日の夜。


「えーー、みんな。急に集まってもらってすまない。

 実は今日の戦いの中で気づいたことがあるんだ」


「つーかぁ、その前にィ、なんでレッドいないわけぇ?」


「いやわからない。レッドには後で伝えておこう」


「フッ……大いなるアカシックレコードに記されし真実を解き放て

 (訳:それより本題は?)」



「どうやら……合体ロボが妊娠してるみたいなんだ」



「「「 はぁ!? 」」」



「今日気付いた。俺ほら合体したときの胴体担当じゃん。

 なんかお腹がぽっこりしてて、産ロボ科にいったら妊娠してた」


「これも偉大なる主の導き。神のなせる業。主に感謝しましょう、ラーメン」


グリーンは肯定的だった。


「待って待って!? なに受け入れてるわけ!?

 6体目のロボが増えるなんて無理でしょ!?」


「ピンク、どうして無理なんだ」


「あたしたちは5体で1つじゃん!

 戦いのたびに、合体した後、あまった1体と手をつないで戦うの!?」


「そ、そうだった……」


余った1体をどうするか。

ピンクの言うように、合体してやっと倒せるのに

子連れの片手間で戦えるほどゆるい環境ではない。


「黄昏の潮流にその身を任せ、契約の忘却へ至る」


「どういう意味?」


「無視して捨てちゃおうってことじゃない」


子連れ反対のブルー。


「イエロー、あんたはどう思ってるのよ?」


「俺は……産んだ方がいいかなと思ってる」


「はぁ? 本気!? 6体目の合体ロボなんて無駄じゃん!」


「頭ではわかってるけど、ロボの内側を元気に蹴ってるのがわかるんだよ。

 もうすでに1体のロボとしてできてるんだよ。無視できない」


「ああ、主の授けて下さった尊い新芽。

 これを積むことはなんと罪深きことでしょう。ラーメン」


イエローとグリーンは出産に肯定的。

多数決取ってみても、完全に2対2でわかれてしまった。


「うーーん、多数決をしてみたが、完全にわかれてしまったな。

 カレーのライスとルーのように」


「てかさ、やっぱこの場にレッドがいないのはおかしくない?」


「黒き深淵に眠りし真実の扉の鍵は血の色に染まる。

 (訳:レッドが何か知ってるんじゃないか)」


「主は言っています。レッドを問いただせ、と」


4人は基地を駆けずり回ってレッドを探した。

見つけたのは、整備班しか行かないロボの格納庫だった。


「レッド! こんなところに隠れてたのか!!」


「……」


「お前も気付いているだろうが、俺たちのロボが妊娠してる。

 お前、なにか事情を知ってるんだろ?」


「いいや存ぜぬ。我も今日の刻で初めて見聞した」


「だったらどうするんだよ!? 多数決やっても別れたんだ!

 お前はどうする!? 6体目を作るのか、作らないのか!?」


「そんなこと、決まっている!!!」


レッドはイエローを切り捨てた。


「これより世界にいづるものをどうして我らが選別できようか!!

 我らは神か!? ちがう、我らはただのレンジャーだ!!」


「レッド……」


レッドの熱意にほだされてピンクは頬をレッドにした。


「新しき力を迎え入れるのが、古き者の務め。

 我が物顔で新参をどうするかを決めるなぞ、言語道断」


「いや、イエローは賛成してたけどね」


「主は言っています。まあいいじゃん、と」


「古き者は新しきものに道を譲る。これこそゲハレンジャーの掟なり」


かくして、ゲハレンジャーは気持ち新たに4人となり、新しいロボの誕生を待った。

整備担当曰く、レッドは格納庫で6体目のためのチューニングを行っていたとかで

その美談でイエロー事件もあっさり忘れ去られた。


妊娠数ヵ月後。


イエローロボのお腹が最大限まで大きくなると

振動パットがぶるぶると震え始める。


「まもなく生まれます!!」


整備の人たちは迎え入れる準備を整えた。


「ついに新しきものの誕生なりけり」


「主の導きに感謝します、ソーメン」


「悠久に続くエデンへの旅路……

 (訳:ここまで本当に長かった……)」


「これであたしたちも5人合体ロボになれるのね!!

 1人減らしただけあったわ!」


4人のゲハレンジャーは新しいゲーム機の誕生を見守る。

そして……。



「生まれました!! 新しいロボです!!

 ひとつ、ふたつ、みっつ……すごい!

 なんと色違いの5つ子です!!」

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