⑦
チャイムが鳴る。
もう下校の時間になっていた。
「ごめん本田さん!」
同時に悠太郎は本を閉じて花子に差し返す。
それを花子は小さく手を振って受け取り拒否する。
「いえ、栞君そのまま持ってて下さい。それは今日のお薦めですから」
「だけどさ。俺、本に夢中で本田さんの邪魔してた」
「そんなとんでもないです。ここは図書室で、本を読む場所なんですから、そんな気にしないでください」
「そんなわけにはいかないよ。だって本田さん、まだ図書室に入れもしてないじゃないか」
「……あ」
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