❌オレ達は常識に囚われない❌

月音ユリィ

Part零・浅い目覚めと深い眠り

目が覚めたとき、全身の痺れに顔が歪んだ。

「お目覚めですか。しばらくは動けません。眠っていてください」

落ち着いた誰かの声が聞こえた。しかし姿は見えない。

「…ここはどこだ、オレは一体全体どうしたんだ」

「ふふ、貴方は以前、自分の暮らしていた世界で死んでしまったんですよ。しかしあまりにも幼かったし、貴方がもっと生きたいと私に言うんで、力を貸して生き返らせたんです」

つまり自分は死んだはずの人間…ふと、嫌な予感がした。

「オレはその、ゾンビなのか」

「いえいえ違いますよ。貴方は正真正銘の人間…いえ、訳ありの人間ですね」

訳ありの訳が気になる。だが顎が痺れて喋るのが難しくなった。

最後の力を振り絞って姿のない誰かにこう言う。

「今度は…オレに……を…見せて、くれ…」

「了解です」

目蓋が重い、目を閉じて自分は、またもやあの深い眠りに入っていったのだった。

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