闇夜に霧が満ちるとき
闇夜に霧が満ちるとき
著者:Gorgom13 様
作品url(https://kakuyomu.jp/works/1177354054883560054)
企画を置いたところ、一番乗りで参加してくださった作品です。
犠牲者第1号ということで、丁寧に解剖してゆきたいと思います。
うれしいことに、掌編集でした。私は掌編怪談が大好きです。それが9本も! お菓子の詰め合わせを頂いた気分で、順次、読んでいきました。
怪を提示し、ちょっと引っ張り、救いなく、落とす。
全体的に、こういう流れの作品が多く感じました。ホラーの鉄板ですね。私もよく使います。
また作中に「§」が現れると(そういう名前の人物ではない)、ラストに至る本当の幕開け。すとんと落としてほしい方なら邪魔っけに感じるかもしれませんが「来るぞ、来るぞ」とドキドキしたい方にとっては親切設計です。
9話分すべて語ってしまうと気力が足りないので、お気に入りだけ詳細を書かせていただきます。
・第4話 霧の夜
ネタバレしてしまいますと、人形譚です。
ですが後述の「私メリー」同様に、人形たちに(おそらく)悪意はなく、ただ一心に主人公を愛し、慕い、求める人形たちはいじらしくかわいらしいです。
ラストシーンの凄惨な美しさは素晴らしいのですが、ご近所の方の会話がいかにも説明という感じで少々違和感を覚えました。
・第6話 私メリー
タイトルの通り、あの有名な「メリーさんの電話」を下敷きにした作品です。しかしメリーさんがやってくることを切望している主人公。人形を愛してやまない彼は、自らをメリーさんの呪いに投じるほど彼女を求めています。
これだけでも十分サイコの来ている一品なのですが、終盤「コメディだったのか」と安心させておいてドカンと落とす手際はお見事。
気になった点としては、「説明」と「謎」のバランスです。上記「霧の夜」のご近所さんたちの会話は説明台詞が過剰な感じですし、反対に説明が不足しているのではと感じる作品もありました。
第1話「黒い犬」では、その犬がイギリスの伝承に近いというところまではじき出しておきながら、結局犬の正体はよくわからないままです。ヒントもないまま「恐ろしい黒い犬」としておいたほうが怖かったのかも、と思ってしまいました。
第2話「霧の港」では沈没事故で救出されたとのことですが、「しらはと共に港に残った級友たちは……」と続き、ん? と思いました。
おそらく主人公が見ていた風景の中の、「少女としてのしらはと、主人公を見送った級友たち」をさしていると思われますが、初見では「沈没したしらはがなんで港にあるんだ?」と勘違いをしてしまいました。
これは私のケアレスミス。
ホラー作品には失礼かもしれませんが、安心感を感じる作品もありました。
第7話「真夜中の茶会」です。
読めばわかる、ホラー者にはよくわかる、様式美の安心感! 古典から都市伝説系まで網羅する黄金の方程式がこの作品には組み込まれております。
ただ、A君は相手の名前を思い出せなかったし聞けなかったのに、主人公はA君を分かったのはどうしてだろう……と思ったり。
でもこの状況でA君わからなかったら読者も混乱しちゃいますしね。
こんなところで締めさせていただきたく思います。
おいしい怪奇の詰め合わせ、ごちそうさまでした。
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