さあ、攻略会議を始めようか!
Ootori
第1話
朝起きてご飯食べて学校に行く。高校生の俺には当たり前の日常の在り方。しかし、その当たり前の生活は最近やっと手に入れたものだ。僕の家族は、お爺ちゃん鈴木
物心ついていた時から、朝4時起き。そしてお爺ちゃんに剣術、槍術、弓術、体術を毎日叩き込まれた。学校から家に帰れば宿題が終わり次第父さんが帰ってくるまでランニング。父さんが帰ってくれば父さんと一緒にまた、剣術などを叩き込まれた。
母さんは、お婆ちゃんと何かをしていたらしいんだけど詳しくはわからない。でも、料理について悩んでた事あったっけ。
そんな大変な毎日を無くす希望が、いつもお爺ちゃんが言う言葉だった。
「2人がかりでワシを倒してみろ。そしたら、お前達を普通の生活へ戻してやるわい。ただし、教えた基礎は毎日欠かすでないぞ!」
ちなみに、全種目勝たないといけない。2人がかりなら楽勝と、思うだろう。だけど、僕が思ったのは、2人がかりなのにだった。それほどまでにお爺ちゃんは強く勝ちが見えない。でも、高校2年その時はやってきた。
「お爺ちゃんにやっと勝ったよ父さん!」
全種目を勝ち最後の剣術勝負が3時間激闘の末、父さんと僕は勝ちをもぎ取った。最後の剣術勝負のルールは簡単。僕達がお爺ちゃんに三本技を決める。逆に三本決められたら負け。お爺ちゃんの隙を作り、技を決めるのに一本1時間と行ったところだろうか。どれだけ、頭と体を動かしたのか、僕は疲れ果て床に横になる。
「お父様、私と翔の勝利という形でよろしいですか?」
父さんは物凄くやり遂げたと言わんばかりの声の張り具合だ。
「うむ、お前達の勝ちだ。これなら、大丈夫だろう。」
お爺ちゃんの言葉は清々しいくしかし、重くもあった。こうして、普通の生活をする事が約束されることとなるが。僕らが勝った次の日。家に、お爺ちゃんとお婆ちゃんの姿は無かった。警察に電話しようとしたが、テーブルに置き手紙の内容が…
『探さなくて良い』
その日の夜、父さん母さんと僕は家族会議をした。会議内容はお爺ちゃんとお婆ちゃんを探すか、探さないか。
「では、会議を始めるよ?いつも通り私が進行役をやるけどいいよね?」
僕らは、家族会議をやるのは初めてではない。と言っても、お爺ちゃんをどう倒すかなどという、攻略会議を父さん母さんと何回もして来た。その時の進行役は決まって母さんに任せている。
「あぁ、私は構わない…と言うかその方がいいだろう。」
父さんの言葉に僕も頷き会議が始まった。
「結論を言うと探さないと言う形でいいという事で決定ね!」
会議はそんなに長くならず、三人揃って探さないを選択したからだ。
各々理由を述べた結果似たような結論であった。会議は終わり解散して僕は布団に入る。
(明日は月曜、丁度お爺ちゃんとお婆ちゃんが居なくなって一週間か…)
心にもやもやするのを振りのけて、僕は眠りについた。
次の日、父さんと僕が家から出る時間は同であるため、同じ時間に起きる。朝からこんなにゆっくりできるなんて、これが日常なのかと思うと嬉しくなる。
「あなたと翔のお弁当できたわよ、忘れずに鞄に入れなね!」
母さんの弁当を持って父さんと玄関に向かった。送り出しに母さんも玄関に来てくれた。
「では、行ってくるね」
「母さん行って来まーす。」
母さんは行ってらっしゃいと手を振り優しく微笑む
そうして、父さんは玄関を開け………た。
「え?」…
それは、父さんの声か、僕の声か、母さんの声か、いや、三人の声だっただろう。
玄関の外に広がるは、一面草原。父さんは、無言のまま一度玄関のドアを閉める。僕と母さんと一度目を合わせてから、もう一度ドアを開けた。またしても、先程見た一面草原である。
僕達は家の外に無意識に出ていた。そこは、一面草原であり丘になっていた。遠くには、街の様な建物が見え。街の見える反対側には山がある。山の方から一匹の生物が村の方へ飛んで行く。僕らの真上を通り過ぎていく。僕らはその生き物に釘付けになる。なぜならその生き物は、おとぎ話の本で出てくるドラゴンだった。
「これはまさしくあれだよね?」
「あれだね」
「間違いない、一度家に入ろう」
家に入りテーブルを囲んだ。
第一声をあげたのは母さんだった。
「今回も進行役私でいいよね」
「あぁ。」
「うん。」
「では始めるわよ。家族会議ではなく、攻略会議…いや。」
三人誰もが思った事だろう、知らない土地おとぎ話で出てくるドラゴン。まさしくそれらを合わせた会議の名を。
「異世界攻略会議を!」
さあ、攻略会議を始めようか! Ootori @Ransui0629
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