冴えかの if story ~もしも冴えかのが○○だったら

神崎あやめ

もしも冴えかのが異能力バトルものだったら 1

「恵~」


「倫也くん、どうしたの?」


「六天馬モールに敵組織の幹部が現れたらしい」


「数は?」


「1人だそうだ。でも、今回は厳しい戦いになるぞ」


「……もしかして」


「あぁ、敵は、『egoistic-lily』のエース、澤村・スペンサー・英梨々だ」


「……英梨々」


「気持ちはわかるけど、今は敵なんだ。行くぞ‼」


「うん。…………倫也くんの方が辛いもんね」


こうして俺と恵は、英梨々が待つ六天馬モールへと向かった。



六天馬モール


「…まさかあんたたちが来るとはね。氷堂美智留とか波島出海とかが来ると思ってたけど」


「私たちだって、来たのが英梨々じゃなかったら、氷堂さんとか出海ちゃんに出てもらったけど。特に出海ちゃんは英梨々とは相性が悪いから」


「そうね。でも、倫也を連れてくる必要の方が無かったんじゃない?」


「ううん、そんなことないよ。英梨々達が私達『blessing software』を離れて1年。私達も変わったんだよ。ね、倫也くん」


「その通りだ。俺と恵は付き合い始めたしな」


「倫也くん、今その話は…」


「な、なんですって⁉と、倫也あんた、あんなにヘタレだったのに⁉」


「そこはいいんだよ‼ともかく、俺達は今敵同士なんだ。もうあの頃とは違うんだ‼」


「そうだよ英梨々。私達はあの時の事、まだ許してるわけじゃないし」


「やっぱりそうなるわよね」


英梨々は悲しそうな顔をしていた。もちろん、俺や恵だって戦いたいと本気で思っているわけではない。だけどこの戦いを終わらせるには、黒幕を倒さなければならない。その黒幕の見当は既についているが、居場所をつかめないのでどうしようもない。その為、仕方なく戦っているようなものだ。

それでも戦わなければならないのは事実なので英梨々に向かい攻撃を始めようとしたときだった。


「待ちなさい。…倫理くん、さすがに2対1はないんじゃないかしら?」


「そ、その声は」


「久しぶりね、倫理くん」


「…詩羽先輩」


そこに現れたのは、武器である小説ライトノベルを持ったもう1人の敵、『ファンタスティック文庫fantastic library』の最高戦力、霞詩子こと、霞ヶ丘詩羽だった。


「あら、まだ先輩と呼んでくれるのね。私達は貴方のもとから離れていったというのに」


「それとこれとはまた別の話だよ。確かにあの時の事を許すことはまだできないけれど、それでも詩羽先輩と英梨々への思いが変わったわけじゃないから。本当は二人とは戦いたくないんだよ」


「そうね。私たちだって、倫理くん達と戦いたいわけではないわ。でもこの能力チカラを持ってしまったんだもの。この運命はどうしようもない」


「そう……だよね。仕方ないよね。……恵」


「うん、わかってる。詩羽先輩と倫也くんは相性が悪いもんね。私が詩羽先輩の相手をするよ」


「悪いな、恵」


「ううん、私だってあんなこと言ったけど、本当は戦いたくなんてないから。早くこの争いを終わらせてまたみんなで笑いあおうよ」


「…そうだな」


「話は終わったかしら?」


「ああ、もう大丈夫だよ」


こうして俺達、秘密結社『blessing software』と、英梨々達の連合組織『egoistic-lily』、『ファンタスティック文庫fantastic library』の戦いの火蓋が切って落とされた…

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