人間不信、自分不信。
水田真理
1 嘘=お世辞=罪の重み
僕はもう純粋ではない。
そう、気が付いてしまってから、僕は幼いときの出来事を思い出す。
僕はボーイスカウトだった。
友達が少なかった僕を心配した母が探しだした結論だった。
他の子達が遊ぶ中、僕はぶたれた。
その詳細を説明すると、ボーイスカウトの終わる時間、僕は楽しくって楽しくって居残ろうと思った。周りの子達は当然のように遊び続けていた。お迎えを遅くしてもらうための承諾を得ようと大人に電話を借りた。
母はそのときいいよと言ってくれた。
だが、良くなかったのだ。迎えの時は、表情を隠していたのだろう。
二人きりになったとき、ひどく怒られた。
こっちにだって予定があるのだと。
知らないよ。
だったら電話の時言えよ。
何でだよ。
最近はこればかり思い出す。
僕が密かに思うこと。
僕の家は過保護だった。
自由を感じにくかった。
鎖にぐるぐる巻きにされた気分だった。
気持ちにさえ、鎖で縛り付けられていた。
二択の選択肢を一択に絞られたことだってざらにある。
それでも、親は僕のためだったのだろう。
もちろん育てれくれたことへの感謝もしている。
だが、あまりにも息苦しかった。
その上、理不尽過ぎた。
僕は純粋ではなくなってしまった。
気が付かなかっただけだった。
僕は周りの人に優しいね優しいねってよく言われていた。
少しぐらいなら、他人のために自分を犠牲にできる。
だけど、全部嘘だった。怖くなった。
頼りに選んだのはいつも"私"じゃなかった。
僕は必要とは誰からもされなかった。
気付いてしまった。
僕は最初から優しくもなかった。
ただのお世辞。
純粋に何かを飲み込むのが怖くなった。
他人の言葉なんてもう信じない。
誰かが言った。
僕に向かって。
子供を産むなら、貴方みたいな子供がいいなって。
子供
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