第17話 本の虫

 円柱状の部屋は本棚でぐるりと囲まれ、天井が見えないほど高い。

 自分は立てかけた長いはしごの上に座理、その時お気に入りの本をそこで読んでいる。

 下から声がかかった。

「おーい。電話ー」

 見下ろすと誰かが手を振っていた。しょうがないなあ。

 おもむろに空間をつかむと、スッと手の中にうすい膜のような付箋が入った。本の虫だ。そいつをしおりにして本を閉じた。

「今行くー」

 本を座っていた場所に置いて、はしごを降りる。

 またあとで続きを読もう。ただ問題は、本の虫だ。虫だけに、本から勝手に脱出してしまう。こいつがいなくならないうちに戻ってこないとな。



 ここで目が覚めた。

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