第4話 家庭菜園の奥さん

 ふう。腰がつらい。

 うちのちいさな菜園から腰を上げたら、隣の家の奥さんが声をかけてきた。

「あら、ごくろうさま。そういう時期よねえ」

 笑顔で応える。

「どーもー。そうなんですよねー」

 奥さんがうちの畑を指した。

「そちらはなあに?」

「手榴弾です」

 握っていた芋のつるを持ち上げると、芋ではなく手榴弾がぶら下がっている。

 ああ、とうなずくと奥さんも自分の畑を見やった。

「こっちは時限式なのよ」

 確かに奥さん家の畑には、かぼちゃのつると一緒に四角い箱がゴロゴロしていた。規模の違いに同情する。

「それも処理が面倒ですよねー」

「そうなのよねえ」

 おほほほほ、と笑いあう。遠くでスズメがちゅんちゅん鳴いた。

 毎年、この時期になると雑草ならぬ雑爆弾が生えてくるから嫌になる。早く排除しないと増えて増えて増えて、それはもう面倒なのだ。

「もう除爆剤まこうかしら」

「迷うところですよねー」



 ここで目が覚めた。

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