三国志の人たち

邴原   雲中の白鶴   

邴原へいげんという学者がいた。

かれは黄巾の乱によって荒廃した

中原を嫌い、東北地方の群雄、

公孫度こうそんたくのもとに疎開していた。


やがて黄巾の乱も収まり、

中原には束の間の平穏が戻る。

そこで邴原、故郷に戻りたいと言ったが、

かれを気に入っていた公孫度、

許可しない。


このままでは故郷に帰れない、

そう思案した邴原、酒を多量に用意。

そして彼が逃げないよう

監視していた人たちに

盛大に酒をふるまい、酔い潰してしまった。


こうして、かれは中原に戻っていく。


公孫度がその事態を知ったのは、

かれの脱走から数日のこと。


そこで公孫度、洩らしたそうである。


「かれはいわば、雲の中を飛ぶ

 白き鶴である。


 燕や雀をつかまえるような

 せせこましい網では捕まえられるまい」




公孫度目邴原:所謂雲中白鶴,非燕雀之網所能羅也。


公孫度は邴原を目すらく:「所謂雲中の白鶴にして、燕雀の網に羅す能う所に非ざりたるなり」と。


(賞譽4)




えっとここにしか

出てこない二人なんですが(呆然)


しかもバックグラウンドが長い。



公孫度

東北エリアで自立し、司馬懿しばいとかと戦った公孫淵こうそんえんの祖父。このひと自体悪い意味でイケイケで、何かこの地に赴任したそばから彼を軽んじてきた家百家あまりに罪を着せ滅ぼしたとか面白すぎることをしている。


邴原

中原に戻ったかれはその後曹操そうそうの配下となった。ちなみにかれの登場する三國志卷11は荀彧荀攸賈詡伝の次の巻、崔琰やら孔融よりも前。「えっなんでこんなはやいところの人の名前全然知らなかったんだ俺!?」ってビビる。

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