王濛1  王劉いちゃつく 

簡文文壇 王濛おうもう

既出:簡文10、王導12、王導30

   王導40、桓温14、桓温31

   桓温51、桓温59、謝安13

   謝安25、謝安26、謝安27

   庾亮17、周顗9、殷浩11

   殷浩13、殷浩14、殷浩15

   殷浩15、王恭14、王羲之4

   王弼、向秀、衛玠5、王衍10

   何充1、何充3、袁喬1、謝尚4

   謝尚5、謝尚7、孫綽7



世説新語のビッグスリーを除けば、

一般的な知名度がないにもかかわらず、

やけに存在感がデカい二人、

王濛と、劉惔りゅうたん


こいつらペアで結構イチャイチャしてる。

その辺の話だ。



王濛と劉惔が暫しお別れしたのち、

後日に再会すると、王濛は言う。


「君は、また成長したな!」


すると劉惔は返す。


「ふふ、天が自ずから

 高まるようなものさ」



別の日、支遁しとんと出会った王濛。

こう語っている。


「劉惔という人の中を覗けば、

 そこには金銀財宝が詰まっているよ」


すると支遁は問う。


「金銀財宝が詰まっているというのに、

 何故ああも言葉少なにしか

 語らんのかね?」


王濛は答える。


「言葉少なにしているわけではないのさ。

 ただ、もとから言葉としては

 集約され切ってしまっているから、

 少なくならざるを得んのだ」



また劉惔が王濛の家に訪れ

清談をかわしていった。

当時十三歳の王脩おうしゅう

それを隣で聴いていた。


劉惔が帰った後、王脩は王濛に聞く。


「劉惔様と父上との清談には、

 どんな違いがあるのでしょうか?」


王濛は答える。


「言葉の美しさは私ほどではない。

 が、端的に急所を突かれる、

 と言う点では、彼が上だ」



そんな劉惔は王濛について、

「その性格は

 きわめてつつましい、と言っていい。

 その上で、節度をよく踏まえている」

と、讃えている。




王長史與劉真長別後相見,王謂劉曰:「卿更長進。」答曰:「此若天之自高耳。」

王長史と劉真長の別るる後に相見ゆるに、王は劉に謂いて曰く:「卿は更に長進せり」と。答えて曰く:「此れ天の自ら高まりたるが若きのみ」と。

(言語66)


王長史謂林公:「真長可謂金玉滿堂。」林公曰:「金玉滿堂,復何為簡選?」王曰:「非為簡選,直致言處自寡耳。」

王長史は林公に謂えらく:「真長は金玉の堂に滿ちたると謂うべし」と。林公は曰く:「金玉の堂に滿つるに、復た何ぞ簡選為らんか?」と。王は曰く:「簡選為るに非ず、直だ言を致す處、自ら寡なきのみ」と。

(賞譽83)


劉尹至王長史許清言,時苟子年十三,倚床邊聽。既去,問父曰:「劉尹語何如尊?」長史曰:「韶音令辭,不如我;往輒破的,勝我。」

劉尹は王長史が許に至りて清言し、時にして苟子は年十三にして、床に倚し邊聽す。既に去らば、父に問うて曰く:「劉尹が語は尊とでは何如?」と。長史は曰く:「韶音令辭なるは我に如かざれど、往きて輒ち的を破りたるは、我に勝てり」と。

(品藻48)


劉尹每稱王長史云:「性至通,而自然有節。」

劉尹は每に王長史を稱えて云えらく:「性は至通にして、自ら節を有したるを然りとす」と。

(賞譽87)




あれっ劉惔さん王濛さんの人品は褒めてるけど文才褒めてないんだ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る