庾敳2  我卿卿卿君我  

王衍おうえん庾敳ゆがいに、交友関係はない。

にもかかわらず庾敳、王衍に対して、

何故か「卿よ、卿よ」と、

微妙になれなれしく呼びかけてくる。


いやいや、無礼だなアンタ。

王衍は言うのだ。


「なぜあなたに

 卿と呼ばれねばならんのだ?」


そう。卿とは同格、あるいは

やや下の相手に向けての二人称。

少なくとも、交友のない相手に

用いるべき言葉ではない。


のだが、庾敳。さらっと言い返す。


「卿はわしをあなた、と呼んでいる。

 わしは卿を卿、と呼んでいる。


 どちらも自発的な呼称だ。

 そうではないかね?


 わしはわしのルールに従う。

 卿は卿のルールに従えばよい」




王太尉不與庾子嵩交,庾卿之不置。王曰:「君不得為爾。」庾曰:「卿自君我,我自卿卿。我自用我法,卿自用卿法。」


王太尉は庾子嵩と交わらず。庾は之を卿すを置かず。王は曰く:「君は為し得ざるのみ」と。庾は曰く:「卿は自ら我を君とす、我れは自ら卿を卿とす。我れ自ら我が法を用う、卿は自ら卿が法を用うべし」と。

(方正20)




放埓な庾敳は、王衍にすら卿呼ばわりなら、そのほかの人間すべても卿だったのかもしれないですね。そして、汝、は使わなかった、とか? つまり、あらゆる人間に対し、等しい距離感をもって接していた、と言った感じ。


そいつを裏付ける資料なんざ存在しねえので、「そうだったら萌える」という事でそう言う方向に妄想を走らせることにした。

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