裴楷2  シャイニィ☆裴楷

裴楷はいかいはまばゆきイケメンである。

そのイケメンぶりはやばい。


服を着崩すと「ワイルドなイケメン!」

と言われ、

髪を解くと「エロいイケメン!」

と言われた。

言われてませんか。そうですね。


けど、服を着た宝石、

くらいのことは言われていた。


裴楷の前に立ったことのある人が言う。


「あのひとの前に立ってごらんよ!

 お宝の山の上を

 歩いてる気分になるから!


 こうね、ピカーっと!

 照らし出される気分になるんだ!」



そこまで言われる裴楷さん。

病床に臥せったとてイケメンである。

当然である。


病に倒れた裴楷を心配し、

恵帝けいてい陛下が王衍おうえんを見舞いに使わせた。


壁向きで寝ていた裴楷、王衍が来たと聞き、

なんとか寝返りをうって向き直り、応対。


見舞いが済み、裴楷の元を辞去した王衍。

弱ったイケメンを思い出し、

こんなことを語っている。


「見たか、あの鋭い眼差し!

 岩山に走った稲妻のごときだ!


 あのタフなメンタルは、

 身体が多少弱ったところで、

 まるでへたりこまないのだな!」




裴令公有俊容儀,脫冠冕,麤服亂頭皆好。時人以為「玉人」。見者曰:「見裴叔則如玉山上行,光映照人。」

裴令公は容儀に俊有り、冠冕を脱ぎ、麤服亂頭せど皆な好し。時の人は以て「玉人」と為す。見ゆる者は曰く:「裴叔則に見ゆらば玉山が上を行くが如し、光映え人を照らす」と。

(容止12)


裴令公有俊容姿,一旦有疾至困,惠帝使王夷甫往看,裴方向壁臥,聞王使至,強回視之。王出語人曰:「雙目閃閃,若巖下電,精神挺動,體中故小悪。」

裴令公は容姿に俊有り、一なる旦に疾有し困に至らば、惠帝は王夷甫をして往きて看さしむ。裴は方に壁に向いて臥せど、王使の至るを聞き、強いて回り之を視る。王は出でて人に語りて曰く:「雙目閃閃、巖下の電が如し、精神挺動せど、體中は故より小や悪し」と。

(容止10)




恵帝のところでこのエピソード没にしといてよかったですわ。ただ事でないイケメンっぷりを踏まえないと、やっぱり後段は味わいがいがなかった。


それにしても、雙目閃閃、巖下の電が如しは、裴楷が王戎に向けたコメントでした。この辺が混線したのか、それともワンセットで呼ばれるだけあって、やはり裴楷の眼差しにも強い意思が感じられるものだったのか。

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