王戎7  息子の死を嘆く 

王戎おうじゅうは息子の王万子おうばんしを幼くして失った。


その葬式に、

山濤さんとうの息子、山簡さんかんがやって来る。


見れば王戎の

歎き悲しみっぷり、半端ではない。


山簡は言う。


「まだ産着も脱げていない子に、

 どうしてそこまで悲しんでおられるのか」


王戎は言う。


「聖人ならば感情より解き放たれよう。

 下層のものならばそもそも

 情に思い至らんかもしれん。


 だが、私は凡人だよ。

 なので、このように情念を

 垂れ流さざるを得んのだ」


山簡はその言葉に感服し、

そして王戎のために、慟哭した。




王戎喪兒萬子,山簡往省之,王悲不自勝。簡曰:「孩抱中物,何至於此?」王曰:「聖人忘情,最下不及情;情之所鍾,正在我輩。」簡服其言,更為之慟。


王戎は兒の萬子を喪ず。山簡の往きて之を省みるに、王は悲み自ら勝たず。簡は曰く:「孩の中物を抱けるに、此は何ぞに至らんか?」と。王は曰く:「聖人は情を忘れ、最下は情に及ばず。情の鍾せる所、正に我らが輩に在り」と。簡は其の言に服し、更ごもに之に慟を為す。


(傷逝4)




うーんこの。


ところで王万子は十九で死んだという事になっている。そんな人物に産着ってお前感はあるが、これ王万子とは別の、生まれてすぐ死んだ子供の時のことだったんじゃないのかなあ。何せ王戎さん、娘にはすっげえ恵まれてたみたいだけど、あんまり息子には恵まれてなかったみたいなんだもの。「ようやくできた後継ぎに死なれてしまった!」てきな。


しかし山簡、山濤さん四十八の時のお子さんだそーですよ。このオッサンも元気だないろいろ。

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