夏侯玄1 アイサツしろよ 

正始せいし名士 夏侯玄かこうげん 全2編

既出:諸葛亮2、曹叡3、

   鍾会3、鍾会5、何晏4



夏侯玄、江陵こうりょう人の陳本ちんぽんというひとと

仲が良かった。


陳本の自宅、その母を交えて、

夏侯玄が酒を飲んで楽しんでいたところ。


陳本の弟、陳騫ちんけんがやってきて、

ろくに挨拶もせずにズカズカと

部屋の入り口に立った。


すると夏侯玄、顔色を変え、

やおら立ち上がる。


「同席は構わんがな、

 礼無きものと交わるのは

 まっぴらごめんだ」




夏侯泰初與廣陵陳本善。本與玄在本母前宴飲,本弟騫行還,徑入,至堂戶。泰初因起曰:「可得同,不可得而雜。」


夏侯泰初と廣陵の陳本は善し。本と玄は本が母の前に在りて宴飲す。本が弟の騫の行より還ぜるに、徑ちに入り、堂戶に至る。泰初は因りて起ちて曰く:「同ぜるは得るべかれど、雜えたるは得べからず」と。


(方正7)




夏侯玄

正始名士、その二。曹操そうそう配下の名将、夏侯淵かこうえんの甥の息子。鍾会しょうかいさんとのキャッキャウフフが非常に楽しい。


陳本

異本では陳丕ちんぴと書かれたりもする。まぁ容認できる範囲内の誤植ですね。曹操そうそう配下の重臣、陳矯ちんきょうの息子で、彼自身も名検事からトップ将軍にまで上り詰めている。


陳騫

兄貴よりも大物で、のちに大司馬にまで上り詰めた。ここでもアニキとその友人とか言う、明らかに礼を尽くすべき相手に泰然としていて、異聞ではそれゆえに夏侯玄に気に入られた、と書かれている。こうした史実とのブレの中に、東晋末~劉宋初期の時代のひとたちが「彼らをどう扱いたいと思っていたか」のヒントがあると言えるのだろう。もちろん答えはない。遊べ。

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