苻堅4 陽岐山の隠者1
非常に高邁な人柄にして歴史に通じ、
さて、時は
襄陽から攻めてくる
前線基地の
桓沖、劉驎之の話を聞き、
ぜひとも副官に採用したい、と
使いの者を船で寄越す。
その船には、贈与品が
これでもか、と詰まれていた。
迎えの者に応じた劉驎之、
船にこそ乗るものの、
船にあった贈答品はすべて荷卸しせず、
それどころか道すがらの困窮する人々に
どんどん配ってしまう。
上明につく頃には、
全てなくなっている有様だった。
そして上明では、
桓冲にさっくり「仕えません」と述べると、
あっさりと帰宅してしまう。
その後も陽岐山近辺の村人と
何ら変わらない生活をしていた。
また、劉驎之の家の蓄えが無くなれば、
村人たちが彼を手厚く援助する。
かれの存在により、陽岐山周辺は
前秦侵攻と言う不穏な情勢下でも、
安心して過ごすことができた、と言う。
南陽劉驎之,高率善史傳,隱於陽岐。于時符堅臨江,荊州刺史桓沖將盡訏謨之益,徵為長史,遣人船往迎,贈貺甚厚。驎之聞命,便升舟;悉不受所餉,緣道以乞窮乏,比至上明亦盡。一見沖,因陳無用,翛然而退。居陽岐積年,衣食有無常與村人共;值己匱乏,村人亦如之;甚厚,為鄉閭所安。
南陽の劉驎之は高率にして史傳を善くし、陽岐に隱す。時に符堅の江に臨みたるに、荊州刺史の桓沖は將に訏謨の益を盡くさんとし、徵して長史と為さんと人をして船にて往きて迎わしむる。贈貺は甚だ厚し。驎之は命を聞き、便ち舟に升れるも、餉らるる所は悉く受けず、緣道の窮乏に以て乞え、上明に比れるに亦た盡く。一たび沖に見ゆれば、因りて無用を陳べ、翛然として退く。陽岐に居せること積年、衣食の有無を常に村人と共にす。己の匱乏せるに值うるに、村人は亦た之を知り、甚だ厚くす。為に鄉閭は安んずる所となる。
(棲逸8)
劉驎之
この人の伝がカッコイイ。桓沖直々に家にやってきて挨拶をしに来たところ、「この家の主は私ではありません。まず主である父への挨拶をなさられるべきでは?」って父親にあいさつに向かわせた。晋書隠逸伝。隠逸伝はロックで面白いね。
桓沖(「崔浩先生」より)
ストレスがマッハな人、と言う総括である。桓温の弟。兄の死後には西府軍を継承。簒奪の意図をあきらかにしていた兄の後であるから、はじめに「いやいやさすがに俺らはそんな大それた野望持ってないですからね?」と、晋朝に行動で示さねばならなかった。つらい。
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