曹叡3  イネとかアシとか

明帝さま、お妃さまの弟、毛曾もうそうを、

当代トップの名士である

夏侯玄かこうげんの隣の席に座らせた。


これを見て、当時の人が言った。


「おやおや~?

 宝石の生る樹に、

 雑草が絡んでるよ~?」




魏明帝使后弟毛曾與夏侯玄共坐,時人謂「蒹葭倚玉樹」。


魏の明帝は、后の弟の毛曾を夏侯玄と共に坐せしむ。時の人は謂えらく「蒹葭が玉樹に倚る」と。


(容止3)




毛曾

父は微賤の出だったが、姉が皇后になるほど寵愛されたという事で引き立てられていた。なおこの話に絡んで、「職人の息子のこいつと同列にすんじゃねーよ」って夏侯玄が露骨に不機嫌になったとかいう記録が残ってる。夏侯玄さん小者過ぎて笑える。しかもそれが理由で降格されてて草。誰だよこんなクズ名士として褒めやそしてたの。当時のみんなか。


明悼皇后毛氏

この人も拾っとくべきだろう。曹叡の皇后となったが、やがて顧みられなくなる。まぁたぶんこの人の人品もきっとアレ。と言うのも曹叡、お妃たちを集めて宴会を開いた時に「敢えてこの人には内緒にしておく」とかやってる。ただ、そのことを聞いた毛氏が「昨夜は楽しかったですか?」と、ちらりと詰った瞬間湯沸かし器発動。毛氏以下侍従十数人が殺されたという。もうこうなってくると毛氏の人品が仮にどうであっても曹叡の鬼畜度待ったなし。つーかこんな理由で殺した元皇后に「悼(=いたましい、あわれな人、的な意味)」って諡号送るとかこいつの頭ン中どうなってんだ。


なお「蒹葭けんか」は『詩経しきょう秦風しんふうにこの題の詩があり、儒教的には憧れる君子に会いたくても会えないこと、世俗的には好きな人に会いたくても会えないことを指す。なら、毛皇后が省みられなくなったあたりで毛曽を夏侯玄の隣に座らせ、周囲の人に嘲笑わせた、と妄想を逞しくすることも可能でしょう。

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