第57話 文章が上手いと思う人

 ああ、この文才分けてくれえ……と思う著名人の方がいらっしゃいます。

 シェフじゃなじゃくてシュフ、がキャッチフレーズの平野レミさんです。


 twitterでたまにレミさんのtweetが流れてくるたびに驚かされます。140字内に近況報告や季節の挨拶、レシピ、ダジャレ等の愉快な発言をまじえてオチもつける時もあるという離れ業。素晴らしい。

 短くて切れ味のあるオチが書けるショートショートが書けそうにない、ほっとくとそりゃもうダラダラ書き綴ってしまう無駄な長文書きとしてはため息を禁じえません。どうすればあんな文章が書けるのか、しかもtwitterで。

 味のある文章で書かれでたエッセイもいいんですよね、レミ(いきなり呼び捨て)。お父さんの浮気の証拠を発見したお母さんのことを「カーカー怒っていた」と書かれていたのがなんだか好きだった。



 とまあレミを出汁にして、本当に語りたかったのは文章の技術についてでした。

 もともと文体に関する好き嫌いはありますが、上手い文章・下手な文章といった鑑識眼はありません。上手い文章というのはせいぜい文法に致命的な誤りがなく、誰もがすらすら読めて内容がよく伝わるもののことを指すな、私なら……といった程度です。

 あとは好きな文体・苦手な文体、読みやすい文体・読みにくい文体があるくらいですね。


 ……ああしかし、戦前に国語教育を受けていた世代の作家による文章はしみじみとお上手だなあ、こういうのがプロの仕事っていうのだろうなあと感じることが多いかも。田辺聖子さんとか(どうでもよいのですが、飯テロ要素のある恋愛小説を書きたいって人は田辺聖子のハイミス小説読まなきゃいけないんじゃないかと。カドカワも気軽に読める環境を整えた方がいいんじゃないかと)。



 カクヨム上でも文章技術講座などを目にすることが偶にありますが、まあプロを目指す方にとっては有益なんだろうなという目で眺めることが多いです。おそれながら正直に言うと、ピンと来ないと言いますか。


 そりゃまあ書籍化やプロデビューを目指すからには一定レベルの文章力が必要になるだろうけれど、その小説をどのように、どうやって語るか、の方に目を向けがちな気質である者にとって、文章の巧拙論に終始しているものをみると「なんかつまんなそうだな……小さくまとまってそうだな……」という気持ちになって萎えてしまうのでした。


 語り方に工夫がありその上で途方もないホラをつくような小説を好むところがあるので、文章は最低限のクオリティさえ保証されていれば良いという派閥なのですよ、私は。正直……。

 いくら文章が上手くても語りが平凡なら退屈、と申しましょうか。まあ私の好みの話です。そして私に好かれたからと言って人気を集めるかどうかは甚だ不明です。



 そうやって文章を書く基礎の部分や技術をおろそかにするから、お前の書くものは独りよがりすぎて全然ダメだし、意味が分からないって言われるし、全然読まれないんだぞって、誰かに言われる前に自分でつっこんでおきます。ごめんなさい。

 時間があったら中学の国語文法の問題集でも解いてみよう、以前どこかで文法の勉強をするにはそれが一番だって読んだから。


 以上、文章講座などを目にした時に胸によぎるものをまとめてみました。




 所で平野レミさんですが、祝日にときどきやる特番でレミと中山ヒデちゃんを絡ませるのはやめなさい、NHKよ。ヒデちゃんにレミがさばききれる訳がないだろう。藤井隆か「きょうの料理」の後藤アナを呼ぶんだ。


 2018年10月19日


 追記:

 料理関係の方の文章でいうと、故小林カツ代さんのエッセイとかも好きですね。

 特に大阪の豊かな商家で育ったという、幼少期を綴ったものがいい。戦前の上方文化の片鱗を感じさせてくれます。


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