直人のラノベ展開な人生。
@hakutama
プロローグ
ある人はこう言う、「私はとても劇的な出来事があり、思い描いた人生が180°曲がってしまった人生だった」
たとえば、将来有望なサッカー選手になると称されていて、サッカー選手として大儲けするはずだった人生が、大きな事故にあって、もう二度と立ち上がることが出来ないほどの大怪我を負い、あっさりと夢が崩れた…そんな人生。
そして、ある人はこう言う、「私はなんの劇的な出来事があったわけでもなく普通に生きて普通に死んでく人生だった」
たとえば、自分の得意なことを武器に自営業をはじめ大儲けや倒産もすることなく生活していく…そんな人生。
この物語は後者になるはずだった人物の物語。
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なんの音もしない、例えるなら無の空間、そう表すのが最適であろうその部屋は、壁、天井、床、あらゆる所が、魂が呑まれる、そう錯覚させる程の濃い、それは濃い黒色だった。
入口の両開きの、重厚感がある扉から、幅は二十メートル、奥行は五十メートル、高さは四十メートルという、大富豪が、大勢の客を招いて、パーティーを催すような大広間だった。
しかし、その広間は、そんな楽しいことをするような雰囲気が欠片も無かった。
その部屋の扉から、部屋の最奥にかけて、淵が金色の刺繍が施してある、とても上品なレッドカーペットが敷かれていおり、そのレッドカーペットの両淵から、五メートル離れた所に、アメジストで出来た極太の柱が床と天井から二十センチ程離れた所で、規則的にゆっくりと上下に動いて、浮遊していた。
その柱は、扉の五メートル先から部屋の最奥へと、4本が等間隔で聳えていて、柱全てで、波を打つように、浮遊していた。
その一本一本に、薄く光を灯しているランプが床から七メートル上に金具でぶら下がっていた。
光源が、薄い光のランプのみなので、部屋全体は薄暗く、気味が悪い雰囲気が漂っている。
その部屋の最奥には、階段が三段ある紫が象徴的な玉座があり、右の肘掛の先に、直径十センチ位の紫色のオーラを放つ水晶玉が宙で静止していた。
その水晶玉の周りに、エメラルドグリーンに輝いていて、土星の球の周りのような、穴の空いた円盤の表面に、魔法陣のように古代文字のような文字が書かれている、半透明の輪っかも共に静止している。
そんな闇が漂う無の空間の、目には見えない闇のオーラが滲み出ている玉座に、露出度が高く、夜の闇よりも深い黒色のドレスを身に纏っている一人の女が右足を上にして、足を組み、左手は左の肘掛に頬杖をつき、右手は右の肘掛の先にある水晶玉の表面を指で撫で回していた。
「はぁ…なにか面白い事ないかのぉ…」その女の艶めかしさが混ざった、そんな言葉が、その部屋に響いた。
その言葉は物語の始まりであり、宇宙の終わりの予兆だった…
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人類が決してたどり着くことのない土の中、地下80万メートルに、不思議な力が及んでいた。
まだ、誰も立ち入ったことのない小さな部屋の机の上に、分厚い本が置いてある。
その本はとても古びており、表紙は深緑色である。
その本は、「ある者」が記した、「七星神伝記」という題名で一ページ目に数行の文章が記されており、残りのページは白紙だった。
「ある者」曰く、この地球は神と呼ばれる者が造ったのだという、そして神は地球と全く同じ星をもう六つ造ったらしい。
つまり、地球を含めて同じような星が七つあるのだ。
そして、その七つの星それぞれに神が自身の身体から創り出した七神の魂を宿したのだという。
この「ある者」がどのような者なのかは不明な為、この本の言葉が真実か否かは分からない。
部屋の外で獣のような咆哮が鳴り響く…
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