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振袖は色とりどりの花模様が下の方からグラデーションのように散りばめられ、可愛らしい印象の中に金糸の入った帯は濃紺、帯締めは一層華やかでコントラストが美しい。

 上品で真っ白なファー、短く明るい髪に映える様に耳元にはボリュームのある花飾り。

 個性的でいて、繊細で綺麗な印象だ。きっと会場で一番目を引いていたに違いない。それくらい綺麗だ。

「いいじゃん、綺麗だよ」

「着物が、でしょ」

「堀川さんが、だよ」

 って言ったらほら、そうやって照れる。まぁそれも年相応で可愛らしいんだけど。

「お世辞はいいって」

「お世辞じゃないよ」

「スカイさんの言うことは信用できないしなぁ」

 ひでぇなぁ。

「振袖、自分で選んだの?」

「違うよ、お母さんの」

 だと思った。今まで見た堀川さんのイメージじゃなかったから。

「実はこのイヤーカフ、お母さんの手作りなんだよね」

「へぇ、すごい。売り物みたいじゃん」

「手先が器用な人だから」

 写真の中の堀川さんがつけているのは、ブーケのように花を寄せ集めたイヤーカフ。耳の後ろで纏められた花々が振袖とベストマッチ。髪飾りをつけていない分、存在感がある。

「当日に初めて見せてもらって。絶対短い髪のままだと思ったからこれにしたの、って言ってた。普通は成人式の為に髪を伸ばしたりするもんね。親って良く分かってるよ」

 さすがだよね、と続けた堀川さんに笑みが浮かぶ。

 そうだ。親ってのはやっぱり子供の事をよく知ってるもんだ。子供はそれを知らないだけで。

「よく似合ってるよ」

「そ、そうかな」

「堀川さんって感じがする」

「どんな感じなの、それ」

 どんなって、個性的で自分を持っていてしっかり者で、でもやっぱりどこか幼くて可愛い、みたいな? まぁ言わないけど。

「ちょっと変わってるって感じ」

「えー、ひどーい!」

「褒め言葉だよ」

 だって正直に言ったって、堀川さんは照れるだろ。


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