第44話 浮遊物体
家族旅行に田舎の観光地に行った。
信号機が三つしかないこじんまりとした街のあちこちで、正方形・長方形のしろい物体がふよふよと浮遊している。これも観光名物出そうだ。
浮遊物体は大気中の成分が形作っているとかで衝撃に弱いが、じきにまた発生する…とよくローカル番組でレポーターが紹介していた。
なるほど、これか。
子どもたちはおおはしゃぎで物体に蹴りとかチョップを入れていき、浮遊物体は衝撃に崩れ、解けるように塵となって消える。
これらセロファンみたいな物体を、地元のひとたちは見慣れているためか、ただの障害物扱いだ。目の前にあるモノを手であっけなく払っている。
そんななか、小さくてひときわ白いなにかがひらひら飛んでいくのが見えた。純白のアゲハ蝶だ。きれい。
しかし今は見とれている時間がないので、しぶしぶ公民館へ向かう。そこには街唯一のATMがあるそうだ。今はもうちょっと旅費を多めに持っておきたい。
行くとタイミング悪く、予想以上にATM待ちの列ができており、げんなりしながら待つことにした。
もう蝶のことは忘れている。
ここで目が覚めた。
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