第3話 魔法の本

 魔法学校の学生である私はレポートを書くため図書館に行った。大嫌いな科目のレポートほど進まないモノはなく、顔の知らない友達たちと居ても、机につっぷしながら先ほどクラスメートに魔法で焼かれた髪先をいじるばかりで進まない。魔法実践の練習につきあうんじゃなかったな。

 ふと、本棚に収まっている上級魔法大辞典が目についた。もうレポートどころではない。皆とわいわい言いながら本を開いた。ぶ厚い辞典には、わずかな挿絵とわけのわからない横文字がみっちり並んでいる。どれも難しい言葉ばかりで読めないが、すべて上級魔法だと思うとぞくぞくする。

 友達が言った。

「コレなんかできそうだね」

 確かにその魔法は比較的読めた。書かれている呪文を早口で読むだけだし、唱えてみよう。ええと。

「んう゛ぃすくぶふうぱちえわほんし~~長いわーい!!」 

 その呪文は上級魔法だけあって、1ページ分どころか5ページ分もあった。長い呪文に舌を噛みそうになるし、めくってもめくっても終わらない。

「唱えられるかーい!」

 とうとうキレて本を投げつけた。


 魔法は失敗。発動もしなかった。

 上級魔法を扱える人たちのすごさを知りつつ、しぶしぶ机に戻ってため息をついた。



 ここで目が覚めた。

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