第2章

過去 (1)

五年前、まだ大学生だった私は、合コンをサークルメンバーとしていた。

そろそろ開きにしようかと言う時、携帯に一通のメールが届いた。

弟の孝幸からだった。

「たすけて、ころされ…」

そのメッセージを見た私は、急いで家に帰った。

孝幸は見るも無惨な姿で床に転がっていた。

「ふふふふふふ!」

狂ったように笑う彼は、恐怖以外の何者でもなかった。


私は、近くにあったテレビのリモコンを手に取り、

孝幸の返り血を消そうとしている犯人の頭を殴った。


あの日私は、始めてこの手で人を殺した。

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